こんにちは、神門です。
あー、なんで自分の人生、こんなことになっちゃったんだろう。
- あのとき、ああしていれば
- あのときの選択を間違えなければ
- 今ならあんな馬鹿な事しなかったのに
そこまで重くなくても、人生を振り返れば、今の自分ならこうしたのに! と思うことはあると思います。
そんな願いをかなえてくれるのは漫画や小説です。
本作もそんな作品群の一つ。
今回は「JKからやり直すシルバープラン」の感想です。
作品情報
作品名 | JKからやり直すシルバープラン |
著者 | 林達永 (著), 李惠成 (著) |
出版社 | キルタイムコミュニケーション |
紹介対象の巻 | 1巻 |
ジャンル | タイムリープして人生やり直しコメディ? |
作品の感想
主人公の二ノ宮小百合はバブル期に富と権力を手に入れていたいわゆる「勝ち組」でした。
ところがある時点で家が没落してしまい、2020年には富も権力も失い、家族もおらず、中年ホームレスになってしまいます。
金持ちのお嬢様として何不自由なく過ごしてきた小百合は学生時代から高慢で傲慢で最低最悪な性格だったため親しい友人もらず、頼れる人もいません。
若さも美しさも失い、何の技能も持たない小百合は働くこともままならず街を徘徊し、やがてホームレス狩りにあってしまいます。
ホームレス狩りの襲撃でダメージを負った小百合、もうこれで死ぬのかと思いましたが、気が付いたらなんと女子高校生時代に戻っていました!
タイムスリープものですね。
「JKからやり直すシルバープラン」 1巻 林達永,李惠成/キルタイムコミュニケーションより 引用
過去に戻った主人公が悲劇的な未来を回避するため二度目の人生を始める。
これは過去にタイムリープする物語の王道ともいえる展開だと思います。
ただちょっと面白いのは主人公が目指す方向性。
小百合は前述の通りお嬢様でお金持ち、学生時代は級友など歯牙にもかけず、教師の言うこともきかず逆に気に入らない教師は潰してきたような女です。
その後も美貌と金と権力を傘に、庶民やルックスの悪い相手を人間扱いしない、ろくでもない女でした。
女子高校生にタイムリープした彼女、お金持ちの豪奢な人生を失わないよう、もう一度あの栄華を取り戻して没落なんて二度として堪るか! と、そういうやり直しを目指すわけではありません。
ホームレスになり惨めな思いをした小百合は、もっと大事なことに気が付いたのです。
そう、彼女がホームレスになって死の淵を経験したのは四十代も後半になってのこと。
人生の一発逆転とか、豪華な生活とかではなく、安定した老後を迎えたいという願望の方が強くなっていたのです。
貯金、保険、健康
その三つを合言葉に、シルバープランを作り上げることに全力を注ぐことに決めたのです。
いやー、方向性がなんか良いですね(笑)
これが、アラサーくらいでタイムリープしたならまだ違うのかもしれませんね。
「JKからやり直すシルバープラン」 1巻 林達永,李惠成/キルタイムコミュニケーションより 引用
さらに人生やり直しといいつつ、小百合は学生時代のことを殆ど覚えていません。
本来、この手の物語だと、人生の節目節目での重要な選択肢があり、そこで違う選択肢を選ぶ。
最悪を回避するために一回目の人生とは異なる手段を考える、それによって展開が変わるというのが王道ですが、それが殆どありません。
人生経験により性格が高校生時代と大きく異なること、それによる心情、行動の変化から、高校生活の展開が変わっていくというものになります。
読み手も、小百合の一度目の人生のことなど知りませんから、むしろ転生モノに近いのかもしれません。
周囲からは、小百合はお嬢様で傲慢で性格が悪いキツイ女と思われています。
でも中身は改心した小百合。
学生時代のことを覚えていないのとあわせて、本人が思っていることと周囲から見た小百合のギャップもまた面白いところ。
こういう、お互いに勘違いしてすれ違っているのに別次元で噛みあっている、すれ違いコントみたいなものです。
「JKからやり直すシルバープラン」 1巻 林達永,李惠成/キルタイムコミュニケーションより 引用
絵も綺麗で、ギャグテイスト多めながらシリアスな展開も描けています。
小百合がどのような学生生活を過ごし、どんな人間関係を築いていくのか。
そしてシルバープランは無事に出来るのか?
楽しみな作品がまた一つ増えました!