こんにちは、神門です。
もしも、他人の心が読めてしまったら。
それは嬉しいこともあるけれど、辛いことの方が多そうです。
漫画や小説でも、人の心を読めるようなキャラクターが出てくる作品は色々とあります。
本作「声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている」も、そんな人の心を読めちゃう女の子が出てきますけれど、読むと嫌な気持ちになるどころか、ほんわかできますよ。
作品情報
作品名 | 声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている |
著者 | 矢村いち |
出版社 | 秋田書店 |
紹介対象の巻 | 1巻 |
ジャンル | 良い子すぎる女の子2人の心温まるお話し |
作品の感想
主人公は二人。
- 一人は、失声症で声が出せない少女、真白音
- 一人は、人の心が読めてしまう少女、心崎菊乃
真白音は失声症、それは文字通り「声が出せない」というもの。
ただ、耳は聞こえるし、人とコミュニケーションをしたいという欲求もあります。
だけど話すことが出来ない彼女にできる手段は、筆談。
転校生としてクラスにやってきた音は、筆談でクラスメイトとコミュニケーションを取ろうとします。
最初はクラスメイト達も音に色々と構いますが、次第に彼女から離れていくようになります。
音とコミュニケーションをとるにはタイムラグが発生しますし、内容も限られてきます。
面倒臭いと思うは人の常、音は自分のせいだし仕方ないと思います。
決して周囲を責めることはせず、声を出せない自分が悪い、コミュニケーションを上手にとれない自分が悪いとネガティブ思考に陥っていきます。
「声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている」 1巻 矢村いち/秋田書店より 引用
そんな音に話しかけるようになったのが、菊乃です。
菊乃は、音が何を話したいが素早く察し、音ともまるで普通のようにコミュニケーションを取ります。
それもそのはず、菊乃は人の心が読めるからです。
でも、菊乃が音に話しかけたのも、最初は「隣であまりネガティブなことばかり考えられると煩わしいから」というものでした。
とはいいつつ、菊乃は根は滅茶苦茶良い子で、結局のところ音に色々と構って優しくしてあげちゃいます。
金髪ツインテールでぶっきらぼうな菊乃。
他人から見るととっつきにくいところもありますが、それもそのはず、人の心が読める菊乃は昔から人の嫌な面を見てきたから、他人を避けるようになっていたのです。
そんな彼女ですが、音を相手にするとちょっと調子が狂います。
というのも、菊乃のことをまるで自分の心が読めるようだと思う音。
普通、自分の心を読まれたら嫌なものですが、音は、「本当に心が読めるなら心崎さん優し過ぎる、大好き!」と思っているから。
もう、声も出さないのに告白されているようなものです!
「声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている」 1巻 矢村いち/秋田書店より 引用
とにかく、心崎さん大好きな音と、ぶっきらぼうだけど優しく音と普通に接する菊乃の関係が見ていてほんわかして堪りません!
お互い優しくて良い子すぎです!
そして菊乃が音と関わることで、少しずつ周囲の人間も変わってきたり。
人の心の声が聞こえるって、凄い嫌だと思いますよ。
人なんて、心の中で何を考えているか分からないし、外面は良くても中身は凄いことを考えている人だって多いというか、それが普通だと思います。
「声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている」 1巻 矢村いち/秋田書店より 引用
だから菊乃の人生は今まで辛かったと思います。
それが、音という優しく純粋な心の持ち主に出会って救われたのだと思います。
だって、下心なしに自分のことを「大好き!」と思ってくれるんです。
自分の汚れた心も綺麗に現れるのではないでしょうか(菊乃の心も綺麗ですけどね!)
優しい気持ちになりたい人は是非、手に取ってみて下さい!