<1>
「祐巳ちゃんの髪は、本当にクセが強いわね」
「す、すみません」
「いいのよ、こうやって髪を梳いてあげるのも好きだから」
「私も、景さまに撫でてもらうと、気持ちよくて好きです」
気持ち良さそうに、目を閉じている祐巳ちゃん。うーん、可愛らしい。
「ふふ、でも昨夜は、髪の毛以外のところを撫でてあげたほうが気持ちよかったみたいだけど?」
「え……や、やだ、景さまっ!!」
途端に、顔を真っ赤にして頬を膨らます祐巳ちゃん。やっぱり、可愛い。
ちょっと拗ねる祐巳ちゃんをなだめるため、祐巳ちゃんが望むことをしてあげる。
こういうやり取りも、スキンシップ。すると、祐巳ちゃんは。
「えっと……ぱふぱふ、してもいいですか?」
「えっ……」
まさかの一言に、思わず凍りつく。だけれども。
「だって景さまの、おっきくて柔らかくて温かくて、気持ちよいから……駄目ですか?」
なんて、上目遣いに言われたら、断れるわけ無い。私がそっと頷くと。
祐巳ちゃんは私に抱きついてきて、胸に顔を埋めた。
「えへへ……景さまぁ」
「もう……祐巳ちゃんったら」
そっと、頭を撫でてあげる。
彼女が幸せな顔をすると、私も幸せになる。
そんな、ある日の一シーン。
<2>
「蓉子さま、来て、いらっしゃいます?」
「あ……蔦子ちゃん」
「待たせちゃいました?」
「いえ、大丈夫よ」
「すみません、昨夜の写真を現像していたもので」
目の前に広げられた写真を見て、一気に顔が熱くなった。
来る前から分かっていたはずなのに、それでも反応は避けられない。
映されているのは……私。
「うふふ、私だけが知っている、蓉子さまの姿。紅薔薇さまのこんな姿、誰も想像できないでしょうね」
「つ、蔦子ちゃん」
「大丈夫ですよ、これは私だけのコレクション。こんなの、誰にも見せてあげるわけないじゃないですか」
悪戯な瞳で見つめてくると、私はそれに魅入られる。
あの眼鏡は、魔力を秘めているのではないだろうかと思ってしまう。
「それじゃ、今日も撮影会といきましょうか?」
「え……ここ、教室……」
「だからいいんじゃないですか。それとも、グラウンドにいきます?」
「や……! こ、ここで、いいから」
「そう、素直な方が可愛いですよ。じゃ、まずは軽くスカートの裾を持ち上げて」
蔦子ちゃんの指示が下る。
「……はい、分かりました……」
もはや私は、それに逆らう術を知らない---
<3>
(……あ、可愛い)
初めて見たとき、そう思ったけれど、その印象は変わらない。
くりんとした大きな目、ふんわりとした髪の毛、長い睫毛。
「どうしたの、乃梨子さん?」
「ん、あ、ごめん。ちょっと、笙子さんと初めて会ったときのこと、思い出していて」
「えー、何々。どんなこと?」
「今も変わらず、可愛いなって」
「えへへ、ありがとう」
素直に笑ってみせる笙子さんがちょっと羨ましい。私は、『可愛い』といわれても素直には頷けないだろう。
放課後、夕日の差し込む教室で、二人は至近距離で向かい合っている。
笙子さんの指が滑るように動き、私のタイを緩め、私の手の平は、そっと笙子さんの胸を撫でている。可愛らしい顔に似合わない、ふくよかな感触。
「笙子さんって、着やせするタイプ?……柔らかい」
「乃梨子さん、手の動きがいやらしいよ……ん……慣れている?」
「まさか。私も緊張しているんだよ……ほら」
笙子さんの手を、自らの胸に導く。瞬間、体に電流が走りぬけるような感覚。
「ねえ……この後、どうする……?」
上目遣いに問いかける。今まで、これ以上先に踏み込んだことは無い。お互いの体を撫であうだけ。
すると無言で、だけど確実な意思を込めて笙子さんは応答してきた。
スカートの裾から中に手を入れ、太腿を、内股を撫で上げてくる。
私も同様に笙子さんのスカートの中に手を入れ、下着越しにお尻を撫でる。
二人きりの放課後は、これから始まる……。
<4>
「日本に来るのも久しぶりね」
懐かしい空気に顔を綻ばせていると、待ち人の声が耳に飛び込んでくる。
「静さん、こっち」
笑顔で近寄ってくる令さんは、私の手からごく自然と鞄を取った。本当に紳士的だこと。だけど。
「ちょっと令さん、どうしてそんな格好なの?」
令さんの格好は、ラフなシャツにジーンズ。確かに、彼女にはよく似合っているけれど。
「可愛らしい格好をしてきてって、お願いしたでしょう?」
「で、でも、荷物とか持つにはこのほうが動きやすいし」
「荷物なんて送ればいいんだから、それよりせっかくなんだから可愛い姿見せてほしいのに」
「でも……」
「恋人のお願いが、聞けないの?」
困った顔をしている。ふふ、そんな姿も可愛らしい。
「罰として、部屋に戻ったらたっぷり、可愛い格好してもらうわよ」
部屋に帰ったら、まさに令さんは着せ替え人形状態。素材がいいのだから、何でも似合う。
ふりふりの服から、大胆な服、久しぶりに会った恋人なのだから、これくらい楽しませて欲しい。
そして今は、ボーダーのニットのカーディガンにカットソーのキャミソールのアンサンブル。
下はフレアキュロット。上下とも黒と白を基調としたもの。恥しがっている令さんがまた可愛らしい。
「うう……静さんは、こういう服が好みなの?」
「そうね、令さんに似合っているのもあるけれど……」
そっと、ベッドの上に腰掛けている令さんの隣に寄り添い、肩に手をかけ耳元で囁くようにして。
「どちらかというと、私の手で脱がせたい服、かしらね?」
たちまちのうちに、真っ赤になって身を縮こまらせる令さん。
この後、もちろん、私の手で淫らに脱がせてあげたのであった。
<5>
「真~美ちゃんっ♪」
「ひきゃぁっ?!」
後ろから抱きつくと、面白い悲鳴を上げる真美ちゃん。だけど。
「お、お姉さまっ?」
という、次の言葉はいただけなかった。だから私は、敏感な耳元に息を吹きかけるように囁く。
「こらぁ、また三奈子さんと間違えたわねぇ」
「あ……え、江利子さま……んっ!」
ビクリと、体を震わせる。そうそう、首筋も弱いのよね。
「す、すみません。だって……」
「だってじゃないでしょう。三奈子さんは、貴方のなにかしら?」
「お姉さま、です」
「じゃあ、私は?」
「江利子さまは……こ、恋人、です」
恥しさのためか、首筋まで赤くなっている。いつまでも初々しくて可愛いなぁ、いじめたくなっちゃう。
「そうね……でも、大事な恋人をお姉さまと間違えた罰を与えないとね」
「ば、罰って……ふぁっん?!」
背後から抱きしめた格好のまま、服の上から、少し強めにささやかな膨らみを揉みしだく。
「わ、私、胸小さいから……」
「ふふ、可愛くて好きよ。それに、小さくても凄く敏感じゃない。特に、この蕾が」
人差し指でつついてあげると、顎をあげ、体を震わせながら声を噛み殺している。堪らないなぁ♪
「じゃあ今日は、これだけで真美ちゃんを楽しませてあげるね」
「そ、そんなぁ……あぁん」
私の可愛らしい恋人は、私を楽しませるように可愛い声で鳴いてくれるのだ♪