【作品情報】
作品名:ナオミとカナコ
著者:奥田 英朗
ページ数:438
ジャンル:エンタメ
出版社:幻冬舎
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
女は強いと思える度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ドキドキするエンタメを楽しみたい!
女は強いと思える度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ドキドキするエンタメを楽しみたい!
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。
夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。
三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に
追いつめられた二人が下した究極の選択……。
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」
すべては、泥沼の日常を抜け出して、人生を取り戻すため。
わたしたちは、絶対に捕まらない-。
夫からDVを受け続ける加奈子。
そんな加奈子の状況を知った、親友の直美。
二人は、加奈子の夫を殺すことを決意する。
もちろん、捕まる気などない。
こういう流れだけを見ると、どんな悪女二人だろうと思ってしまうこともあるかもしれないが、いたって普通の女性二人である。
DVを受けていることは確かに酷いし、暴力をふるっている男は最低だ。
だとしても殺人は犯罪であり、許されることではない。
理性ではそう分かっても、読めば直美と加奈子を応援してしまう。
捕まらずに逃げ切って欲しいと思ってしまう。
それは、きっと誰しもが現実では色々な抑圧を受けていて、それを打破したい、滅茶苦茶にしたいと思っても、実際にはできないから。
だって、自分の人生を棒に振ってしまうかもしれないリスクがあるのだから、行動に移せない。
それがわかっていながらも、行動をした二人に肩入れしてしまうのだろうと思う。
もちろん、素人の二人、そう簡単にうまくいくはずがない。
完璧だと思った計画も穴だらけで、幸運があってうまくいっただけだった。
不審に思い、調査して追いかけてくる、暴力夫の妹や会社の同僚、そして警察。
少しずつ、少しずつ、真実に迫られてくる。
「ナオミの章」では、DV夫を殺害を決意するに至る経緯であったり実際に殺害するまでで、二人が能動的にどう動くかが描かれる。
対して「カナコの章」では殺害した後、少しずつ包囲され追い詰められ、状況から動かざるを得なくなる二人が描かれる。
その転換というか、対比もうまい。
特に「カナコの章」になってからは、
- 真相を知られてしまうのか?
- 二人は逃げ切れるのか?
- 捕まってしまうのか?
ということが気になって、先を読み進まずにはいられなくなる。
どちらに転がってもおかしくない展開にハラハラした後に待っているラスト。
そこは、実際に読んでみて感じてください。
特にない。
これはうまく描かれたサスペンスのエンタメですね。