<1>
「お、お父さんっ。お風呂で背中流してあげよっか?」
なんとかさりげない風を装って、絆は父親にそう声をかけた。声をかけられ、祐麒は新聞から顔を上げて絆の顔を見る。
「んー、でも絆も今、試験期間で勉強が忙しいんじゃないか?」
「そんなの大丈夫、授業で聞いていれば試験なんて問題ないし」
「そ、そうか。我が娘ながら、なんて優秀な……」祐麒は唸っているが、これは事実。絆にとって試験なんて問題ない。
というか、試験勉強なんかしてたら祐麒と触れ合う時間が減ってしまう。だから無駄な時間を作らないよう授業で全て吸収してる。
「それじゃあ、風呂に入ろうかな」
祐麒の言葉に内心で歓喜。なぜって、ちょうど今は母親の三奈子が出かけていていないから。
一緒にお風呂に入ることくらいあるが、いつも三奈子がいて邪魔してくるのだ(三奈子はそんなつもりはない)
「……高校生にもなって父親と嬉々としてお風呂に一緒に入るとか、我が姉ながらキモいんですが」
末っ子の由香利が冷たい目で見てくるが、そんなのは無視。家族なんだから、一緒にお風呂くらい変じゃないし。
そうしていよいよ、一緒のお風呂。とはいえ恥ずかしいので体はタオルでガード……胸に引っ掛からないので苦労するが。
「ええと、じゃあ、背中流してあげるね……んしょ、んしょっ」
思ったよりも広い背中を、泡立てたスポンジで洗う。これぞ求めていた時間、雰囲気と幸せに浸っていると。
「……ごめんね祐麒くん、遅くなって。今日は約束通り、泡踊りで洗ってあげるからねっ!」
と、ハイテンションに母親が浴室に飛び込んできた。勿論、全裸。いつの間に準備していたのか、全く気がつかなかった。
祐麒といるといつもこんな感じで、気配を消す忍者かと思ってしまう(単に絆が祐麒に夢中で気が付いていないだけ)
「あれ、今日は絆ちゃんも一緒に入っていたんだー。あ、やば、私へんなこと言っちゃった?」
「三奈、お前な……娘の前でなんてこと」がっくりと肩を落としている祐麒。
「まあまあ、えへへ……えーと、じゃあ今日は普通に親子三人で仲良く入ろっか。さすがに絆ちゃんには見せられないし」
三奈子のその言葉を聞いて、なんとなくムッとする。子供だと思われているようで。
「わ、私、大丈夫だからっ。それよりむしろ、私も一緒にお父さんにしてあげるから!」
思わず、そんなことを口にしていた。意味は良く分からないが、なんとなくえっちなことだというのは分かる。
言った後、さすがにこれはないと自分でも赤面したのだが。
「そっかー……じゃあ、絆ちゃんの性教育もかねて、少しお勉強を」なんてとんでもないことをのたまう母親。
「三奈、何言ってんだよ!? なんでそんな」
「でもほら、絆ちゃんも年頃だし、正しい知識をつけておかないと。祐麒くん相手なら、絆ちゃんも安心だろうし」
「えっ……あ、あの…………お、お父さんが初めての相手なら……うん……」
ぽ、と赤くなってもじもじする絆。まさか、こんな展開が待っていようとは思っていなかったが、それでも……
ちなみにこの後、教えてもらうのは小学生レベルの話であり、祐麒は安心し、絆は涙を流した。
<2>
「ふふ、私の勝ちね、可南子」
悠然と微笑む美月。
「いいえ、私の方が早かったもん」
反論する可南子。
向かい合い、どちらも譲る気などない表情で自分が勝ったことを誇る。
「私の『腋』に挟んでした方が、お母さんより3秒早くいったわ」
「何言っているの、時計の押し間違いでしょう。私の『お尻』に挟んだ方が早かったわよ」
二人が何を争っているかといえば、祐麒をどちらの方が早く気持ちよくさせられるか、ということであった。
しかも、普段はやらないような方法で。
ということで可南子が選んだのが『腋の下で二の腕と挟む』方法で、美月は『むっちりした尻肉の間に挟む』方法であった。
こんな風にして、母娘でいつも競い合い戦っているのだが、祐麒としては嬉しい反面、怖くもある。
「それじゃあ次は、どうしましょうか……」
ぺろりと唇を舐め、艶然とした笑みで祐麒を見つめてくる美月。どうか、お手柔らかに頼みたいものである。
「じゃあ次は……先に祐麒くんが入れたいと思わせた方の勝ちね」
言うや否や、美月は可南子に襲い掛かった。
「ちょ、ちょっと、何よソレ、なんで……んっ!」
目の前で繰り広げられる、母と娘のキャットファイト。むちむちしたお尻や、ぷるぷる揺れる胸が目に眩しい。
なぜかいつも二人がこうして絡んでしまうのは、美少女と美人がプレイするのを祐麒が楽しんでいることを美月が知ってるから。
可南子は抵抗しつつ、母親に対しまだ羞恥があるのと経験の差で、いつも最後はめろめろにされてしまう。
そうしてとろけきったところに、祐麒が止めを刺すというのが、よくあるパターンである。
「ふぁぁっん…………や、あ……んっ」
美月に脚を大きく広げさせられ、胸を愛撫され、涎を口から零しながらも抵抗しようとする可南子だが。
やがて声もなく大きく体を弓なりに反らせ、体を痙攣させる。
「あらら、可南子の勝ちね、ふふ……」
今日も今日とて、仲良く戦う母と娘なのであった。
<3>
清子と幸せになること、それは現実的には不可能にしか思えない。
何しろ相手は人妻であり子持ち、しかも小笠原家の主人の妻である。どうにかできようはずもない。
「祐麒さん、私のことは忘れてください」
ほんのりと汗で肌を光らせる清子は、優しくそう言った。もちろん、そんなことを聞けるはずがない。
何かまだ言おうとする清子の口を塞ぎ、再び清子の体を味わい、蹂躙する。
艶やかな肌は若々しく、喘ぐ声は艶っぽく、そして清子の中は熱く複雑に絡みついてきて、祐麒を高みへと導く。
とてもではないが、手放せるわけもない。しかし、どうしようもないまま日だけが進み、関係は続く。
そんなある日のこと、清子との情事を祥子に見られてしまった。不覚だった。
バラされては破滅と、咄嗟に祥子を逃がさないよう捕まえた。暴れる祥子を、アンリが薬か何かで眠らせる。
清子は、もう御終いにしようと言ったが、祐麒は別のことを考えていた。むしろ、これをチャンスに出来ないかと。
気が付いた時、祥子は体の自由を奪われていた。手を体の後ろで縛られたうえ、体をどこかから吊られている。
足はどうにか床についているが、浮いてしまいそうでもあるそんな感じ。
ブラウスは身に付けていたが、ジーンズは脱がされて下着がむき出しになっている。
場所は、どうやら小笠原家の地下室。祥子も使用したことがない部屋だった。
「ど、どういうことです、祐麒さん……?」祥子は、部屋の中に祐麒の姿を見つめて睨みつける。
「祥子さん。俺、思ったんです。本当に欲しいものを手に入れたいなら、心を鬼にしないといけないって」
そう、祐麒は考えた。清子と結婚することは出来ないし、このまま関係を続けていくのも難しい。
それならば、小笠原家に正式に入り込んでしまえばどうだろう。清子と会う難度は大きく減るし、関係も続けられる。
そして小笠原家には祥子という年頃の少女がいる。祐麒と結ばれるにも不自然でない相手だ。
だが祐麒の本命は祥子の母である清子、潔癖症の祥子が認めるわけもない。ならば、認めざるを得なくさせればよい。
祥子を手に入れ小笠原家を掌握すれば、今の主人をどうにか追い出してしまうことも出来ないはずはない。
だから今大切なことは、祥子を屈服させ祐麒の忠実な人形とすること。愛する人を得るためには心を鬼にするのだ。
「ごめんなさい、祥子さん……」清子と、そしてアンリも姿を見せる。
「お母様……アンリ……なんで」呆然とする祥子。それは単に裏切られたと思ったからだけではない。
清子とアンリの手にある物を見たからでもある。
こうして小笠原家の地下室で、祥子の調教は開始された。
<4>
「ん……ちゅっ」
「ちゅ……んぁ……くちゅ」
濃厚なキスが展開されている。
慣れていないのか、キスしている時にメガネとメガネが触れ合い、カチャカチャと音を立てる。
ゆっくりと唇を離すと、お互いの口から唾液が伸びる。それを人差し指で掬い、蔦子は相手の口に入れた。
差し込まれた指をしゃぶり、くちゅくちゅと舐めまわしながら、景は蔦子のブラウスのボタンを外す。
「あん……もう、油断も隙もないですね、景さま」
「そういう蔦子ちゃんの方が、よっぽど手際がいいじゃ……きゃぅんっ!」
景の手よりも早く、蔦子の手の方が景のブラの下に滑り込んでいた。小ぶりの胸を手の平でこねる蔦子。
「やっ……あ、ん……」攻められ、小さく喘ぐ景。どうにか反撃しようと、攻められながらも必死で蔦子を脱がせにかかる。
「可愛い、景さま」 蔦子は意に介した様子もなく、景の首筋に舌を這わせながら背中に手をまわしてブラのホックを外してしまう。
ブラをずらしてむき出しになった胸に、そのまま唇を寄せてキスし、舐める。乳首を口に含む。
景もようやく蔦子の胸に手を入れ、ボリュームのある胸を揉みながら乳首を指で転がす。
二人の美少女が淫らに絡み合うそんな姿を、祐麒は見つめていた。
目の前にして動かないのは、動けないから。椅子に縛り付けられ、自由を奪われているのだ。
「ふふ、祐麒くんもあんなに興奮していますよ……景さまがえっちなせいですかね?」
「そ、そんな……あぅぅ」言葉でも攻められ、景が弱々しい声をあげる。
トランクスも脱がされている祐麒の下半身は、繰り広げられる痴態に既に反応をしている。
三人の関係は、蔦子の写真のモデルをしたことから始まっていた。普通の写真から、次第にエスカレートしていく要求。
大胆な姿、ポーズを要求され、やがてそれは祐麒も交えて淫らな撮影会へと転じ、歪な関係へと進んでいった。
場所は景の下宿先、単に変なことをしているだけではない。各所にカメラが設置されあますことなく撮影されているのだ。
そして、それを意識するからこそ三人とも興奮しているというのもある。
「たっぷり我慢して我慢して、そうしたら私と景さまの二人で祐麒くん、いいことしてあげるからね」
「な、なんでこんなことに……あ、うあぁ」
胸と胸、乳首と乳首を擦り合せ、キスをする。段々とこれが異常だとも思わなくなりつつある。
それが恐ろしくもあり、楽しみにも感じてしまう三人であった。