【作品情報】
作品名:事件は終わった
著者:降田 天
ページ数:344
ジャンル:ミステリー
出版社:集英社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
事件は終わっていない度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : ちょっと視点を変えた物語を読んでみたい
年の瀬に起きた痛ましい〈地下鉄S線内無差別殺傷事件〉。
突然、男は刃物を振り回し、妊婦を切りつけ、助けに入った老人を刺殺した。
時は過ぎ、事件に偶然居合わせてしまった人々には、日常が戻ってくるはずだった───。
会社員の和宏は、一目散にその場から逃げ出したことをSNSで非難されて以来、日々正体不明の音に悩まされ始め……
地下鉄で発生した無差別殺傷事件。
犯人は捕らえられて事件そのものは終わっている。
だけど、その事件に直面した人たちにとってはそれで終わりというわけではない。
- 被害を受けた人。
- 事件を目撃した人。
- 逃げた人。
立場はそれぞれ違えども、彼らの日常は終わるわけではなく続いていく。
その中には当然のように、事件の影響を受けてしまう人たちもいるわけで、そういった人たちを描く短編連作。
今までにもあるようで、意外とないような気もする観点の作品である。
自分自身、もしそういう事件に直面してしまったらどういう行動をとるだろうか。
そしてその影響が、その後の日常生活にどう及ぼしていくのか。
想像してみたりもする。
現実世界で実際にそういう事件の発生を耳にすることもあるので、同じように想像してみる人もいるのではないでしょうか。
死人も出る悲惨な事件だけに、明るくなれるようなことは少ない。
誰しも何かしら負の影響を受け、それでも前に進んでいくわけで。
心情的なところもあるけれど、意外とオカルトというかファンタジー的な展開を見せる部分もある。
でもまあ、そういう事件が及ぼした心理的な影響、ということにもとらえられるから、それはそれでありかとは思う。
苦しむだけでなく終わるのも、良いですね。
犯人のことや、犯人の関係者についてはあえて触れなかったのでしょうかね。
そこは気になりました。