【作品情報】
作品名:ヴァンプドッグは叫ばない
著者:市川 憂人
ページ数:352
ジャンル:ミステリ―
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
特殊設定ミステリ度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : シリーズのファン
厳戒態勢が敷かれた都市と、
密室状態の隠れ家で起こる連続殺人。
殺人鬼が仕掛けた、想像を絶するトリックとは?
マリアと漣が挑む、史上最大の難事件。
『ジェリーフィッシュは凍らない』に連なるシリーズ第五弾!
マリアと漣のシリーズ第五弾。
今回のネタは吸血鬼!?
という感じで始まっていく物語。
序盤はどちらかというとサスペンスというか、ホラーというか、パニックものというか。
とはいいつつ、アレのせいだろうなというのは描かれているので、吸血鬼とかでないのはすぐにわかりますけれど。
『ヴァンプドッグ』と呼ばれる男が犯した、二十年前の連続殺人と同じ手口でどんどんと人が殺されていく。
同時期に、現金強奪事件も発生。
にわかに厳戒態勢が敷かれたフェニックス市に、マリアと漣も応援に駆けつける。
ファンプドッグが行ったとしか思えない事件が連続発生。
一方で現金強奪犯たちの内部でも、仲間が一人また一人と殺されていく。
しかも、それもまたヴァンプドックの犯行と同じ手口で。
ヴァンプドッグは復活したのか、それとも別の誰かが行っているのか。
そういった形で物語はスピーディに進んでいく。
ミステリ―ではありつつも、架空の世界の架空の話でもあり、ある意味でファンタジーでもある本作。
その中で制約を課して謎解きをする特殊設定ミステリ―。
今回の内容はウィルスやらなんやら、なんでもありな感じの強引な謎解きと感じざるを得ない。
見所は、シリーズ過去作との繋がりと、そこから6作目以降に続く伏線とでもいうべきか。
マリアと漣のやり取りはいつもの通りなので、その辺は安心できる。
特殊設定ミステリーが受け入れられないときついかも。
特に、シリーズのこれまでの作品よりも、更にその特殊性が強い。
その辺は、「そういうもの」と受けて流せる人じゃないと。