【作品情報】
作品名:あなたへの挑戦状
著者:阿津川辰海、斜線堂有紀
ページ数:288
ジャンル:ミステリ―
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
読者への挑戦度 : ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
こういう人におススメ! : タイトルに騙されても良い
ミステリランキングを席巻した二人による
驚愕と論理に満ちた世界へようこそ。
阿津川辰海が描く「奇怪な城の密室殺人」
VS.
斜線堂有紀が描く「死体と眠る犯人」
ミステリ新世代の圧倒的才能が、いま衝突する。
二人の作家による競作。
阿津川さんはミステリー作家と思うが、斜線堂さんはミステリ―も書く作家さん、というイメージ。
ご本人もそういう認識ぽいですが。
そんな二人がミステリ―で競演。
阿津川さんが描くのは、巨大な水槽のある円柱型の建物「水槽城」で発生した怪死事件。
巨大な水槽によって作られた密室で発生した殺人。
誰がどのように、なぜ行ったのか。
一方で斜線堂が描くのは、ホテルで発生した殺人事件。
犯人は犯行後、死体の横で一晩眠っていた。
なぜか?
そんなテーマで描かれた二編。
何が「あなたへの挑戦状」なのかは読んでわかる。
それぞれの作家が、相手に対してテーマを投げかけ、それに応じた作品を描くというものだった。
阿津川さんは水槽城の密室の謎を。
斜線堂さんは死体の横で犯人が寝ていた謎を。
なるほどね、と思わせてくれる。
それぞれの作品はそれぞれの特徴が良く出ている。
阿津川さんはロジカルにパズラー的に。
斜線堂さんは人物の感情や関係性を主に。
個人的に好みは斜線堂さんの作品の方だったけれど。
でも本音を言えば一番面白かったのは巻末の、競作が決まってから実際に作品を考え、作り上げるまでのことを描いた二人の執筆日記。
作品の作り方、アプローチの仕方が全然違っていて面白い。
私はどちらかといえば斜線堂さん寄りの方。
とにかく書きながら考える、書く量を決めて進める、みたいなところ。
タイトルに騙された人も多いかもしれませんね。
特にないけれど。
もしかしたらタイトルで勘違いしちゃうかもしれませんね。
読者への挑戦状、ではないんですよね。
あと二作は毛色が違うので、好みは分かれそう。