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エンタメ 書評

【ブックレビュー】砂の王宮(著:楡 周平)

更新日:

【作品情報】
 作品名:砂の王宮
 著者:楡 周平
 ページ数:448ページ
 ジャンル:エンタメ
 出版社:集英社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 のしあがり度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : 今、企業で働いているサラリーマン

 

■作品について

戦後の日本、闇市で薬屋として働いていた塙太吉。その人生は、進駐軍の将校相手に御用聞きをしている深町信介と出会ったことで大きく変わる。
薬屋からスーパー経営に舵を切り替えた太吉は、先見の明と持ち合わせた運によって一気にのしあがっていく。
神戸から東京への進出、立ちはだかる困難とアクシデント。
そして現代に至りさらなる王国の発展を目指す太吉。
その行く末は--。

■良かった点

なんといっても迫力があり、且つスピーディな展開で一気に読ませる面白さがこの作品にはある。
ジャンル的に言ってしまえば経済小説ということになるのだろうが、細かいことを説明するわけではなく、太吉がのしあがっていく中で経済、経営に関してを大雑把ながら非常に的を射た言葉で話してくれて、詳しくなくても理解できる。
そう、会社というのは、事業というのは、常に先を考えていかないとあっという間に追いつかれる。
新しいことをやっても、同業が後から追いかけてきて、今までのアイディアに新しいことをプラスしてきたりする。
ただ今までと同じことを続けていては頭打ち、抜き出るための行動が出来ないといけない。
そらそうですね。

主人公である太吉が情熱を持ってのし上がっていく中、彼に関わっていく仲間、敵対する者、色々と当然いるわけだが。
単に感情論ではない、彼らは「ビジネス」を間に挟んで対立し、手を結び、歩いて行く。
そのやり取りの中にある太吉の言葉、思いは、今のビジネスの世界にいる我々にも響いてくるものがある。
商売の本質なんてものは時代が変わっても大きく変わるものではない、そういうことを思わされる。

のし上がっていく第一部から一転して、第二部は現代へと移る。
一大企業となった太吉の「誠実屋」。
太吉は人生の最後を締めくくる事業を取りまとめようと動く。それに反対する、「誠実屋」が出店しようとしている地域の瀬島。
後継者問題は過去のことからも絡め、思わぬ方向へと展開していく。
巨大な王国を築いた太吉。
だが、それは意外なほどの脆さも併せ持っている。
タイトルである「砂の王宮」の意味も最後に分かる、なんとなく切ない、哀愁漂うラスト。
それでも太吉の生涯は楽しく、充実していたものだったのだろう。

リーダビリティのある作品、パワーのある作品。
特に働いているサラリーマンは読んで楽しめること間違いないと思う。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

第一部がぐんぐんと盛り上がっていくだけに、第二部はちょい落ちる。
まあ、のしあがった後だから仕方ないといえば仕方ないけれど、第一部のようなパワーが無かったのが残念。

 

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