【作品情報】
作品名:アイの物語
著者:山本 弘
ページ数:584ページ
ジャンル:SF
出版社:角川書店
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
読んだ後の充足度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 人とAIの交流という単語に惹かれる
数百年後の未来、地上は機械に支配されていた。
そんな世界で出会った一人の青年とアンドロイド。
青年は機械を憎む。
そんな青年と、美しいアンドロイド・アイビスの二人で行われる物語の読み聞かせ。
物語が最後まで辿り着いたとき、青年は何を感じ、理解するのか。
まさにSF・千夜一夜物語。
短編連作、というのとはちょっと違う。
でも、アイビスが語って聞かせる7つの物語は、どれも繋がっているのだ。
語られているのは、機械、即ちAIと人類との交流である。
様々な作品で同じようなテーマについて語られているが、本作においてはAIが「物語」を主人公の青年に聞かせることによって交流するというのが面白い。
一つ一つの話自体が魅力的で読んでいて面白いのだが、物語を読み進めることによって少しずつ青年がこの世界について、そしてAIの考えと行動についてを理解していく。
最後の物語を終えたところで世界の真実に気付かされる。
それは読み手も同じであり、このような未来が本当にあるのではないかと思わされる。
機械は決して敵ではない。
ヒトのことを思い、ヒトのために動いている。
人間がそれをどのように思うかは別として、だが。
逆に人間の愚かさを理解させられるというか、自分も人間だからその気持ちも分かっちゃうんだよなー。
物語の構成、そして終わり方、とても素晴らしかった!
7つの物語の中では、第6話「詩音が来た日」がやはり白眉であり、心に残る。
もちろん、他の話も良いんだけどね。
SFではあるが、物語設定がSFということで、SF耐性が少なくても読めると思うので、是非に!
尚、読むとエイミー・トムスンの「ヴァーチャル・ガール」を思い出す。
うーん、この作品はこの内容で完結しているから問題なし。
各短編を書いた時期が結構離れているので、そういった意味もあって出来に多少の差はあるかもしれない。
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