【作品情報】
作品名:バクテリア・ハザード
著者:高嶋哲夫
ページ数:504
ジャンル:エンタメ
出版社:集英社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
パニック度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
こういう人におススメ! : 一気読みしちゃうような作品を探している人
科学者・山之内明が発明した「ペトロバグ」
それは、石油を生成するとてつもない細菌。
石油市場を揺るがし、パワーバランスを破壊しかねないその発明に、各国が揺れる。
脅威を感じた石油メジャーは、山之内殺害およびペトロバグ略奪の指令を発する。
目に見えない細菌が、時に驚くべき能力を発揮し、その強力さゆえに人類の危機をも引き起こす。
高嶋さんといえば、地震に津波、富士山の噴火にパンデミックと、様々な自然災害系の作品を発表してきました。
そして今回は、バクテリアです。
突然発生したというものではなく、これは科学者が発明したもの。
それも、石油を精製するという細菌。
言うまでもなく、世界で石油という資源はありとあらゆるところで使われ、重宝されています。
アラブ各国は石油の力によって潤っているわけですし、かつてオイルパニックが起こるくらい、なくてはならない資源です。
それを自在に作ることのできる発明をしたら、それこそ世界のパワーバランスは崩れてしまうでしょう。
血眼になってなんとか阻止しようとしたり、入手しようとしたり、各国の政府、首脳が動くのも分かります。
発明した山之内は野心があるわけではない。
過去に発生した事件を今も背負い、あえて自らを痛めつけるかのように生きている。
だけど、科学者としては真摯に研究に向き合い、政治的な動きには入らず研究だけに注力する。
そんな山之内を慕う若き研究者たち。
過去の事件にいつまでも絡められている山之内に、今の事件が追いかけてくる。
しかも発明したバクテリアは、とてつもない威力を持っていた。
果たしてこれを世に出して良いものなのか。
狙うもの、守るもの、入り乱れ果たしてどういう結末に辿り着くのか。
本来なら有益な発明なのに、人の手に渡るとそれがどう利用されるか。
それは、過去の偉大な発明も示している通り。
人間てのはどうしてもそうなりますよね。
一気読みで楽しめるエンタメ作でした!
山之内の暗殺にやってきたはずの裏の世界の連中、プロのはずなのにちょっと情けなさ過ぎたと思ったのだが。
思わせぶりに登場した割には、あっさり退場しちゃったなぁ。
そんなもん?
あと、パニックものではないので、最初に記載したような作品を期待していると異なります。