【作品情報】
作品名:黒後家蜘蛛の会4【新版】
著者:アイザック・アシモフ
ページ数:394
ジャンル:ミステリー
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
謎解明時のすっきり度 : ★★★★★★☆☆☆☆
こういう人におススメ! : ちょっとこじゃれたミステリを読みたい
弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人からなる〈黒後家蜘蛛の会〉と給仕一名。
彼らは月に一回、ミラノ・レストランで晩餐会を開いていた。会で行われるのは、舌鼓をうつ美食と歓談。
そして、ゲストが持ち込む謎に対する推理合戦。
12編のちょっとしたミステリー。
いきなり「4」ですみません。
ただ、本シリーズは1話完結もので、他の前の話を引きずっていたりとかはしていないはずなので、途中から読んでも問題なく楽しめます。
<黒後家蜘蛛の会>の人物達はさすがに固定ですが、これも読んでいけば誰がどういう性格をしているのかは把握できてきますし、最悪、誰が誰か分からなくても、謎ときにはさほど影響しません。
というのも、謎を持ってくるのは晩餐会のゲストなのですから。
会のメンバーは、あくまでゲストから話を聞き出して推理をする側。
なので、どの話から読んでも問題はないわけです。
本作には12の短編ミステリーが詰まっています。
どれも殺人などが発生するわけではなく、今でいうなら「日常系」のミステリー。
日々生活していく中で、ちょっと気になること、あれはなんだったんだろうと思ったこと。
そういう思いを抱いたゲストたちの悩みを解いてあげようというものなので、殺伐とせずに読めます。
話を聞いて謎を解くということで、いわゆる「安楽椅子探偵」といいましょうか。
実際に自分の目で見るのではなく、ゲストからの情報だけであとは自分の中で想像し、補完し、推理していくのですが、結局のところ謎を解くのは給仕のヘンリー。
ちょっとしたヒント、情報から解決を導いていくその知識はただものではないですね。
12ある短編の中では「赤毛」が個人的には良かったかな。
他の作品は結構、ワーズワースの詩だ、ギリシア語だ、ラテン語だ、ボオの詩だ、というように知っていないと解きようもない謎が結構あるのですが、「赤毛」は純粋なミステリとして解けるからである。
ほんのちょっとしたひねりがあれば。
一作ごとに、著者から作品に対する薀蓄というか、出来上がった経緯や作品に対する思いが書かれているのは、面白い。
結局、全部ヘンリーが解決しているのだが、他の会のメンバーの存在意義は・・・・?
いや、尋問するという役割があるか。
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