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ミステリー 書評

【ブックレビュー】看守の流儀(著:城山真一)

更新日:

【作品情報】
 作品名:看守の流儀
 著者:城山 真一
 ページ数:340
 ジャンル:ミステリー
 出版社:宝島社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 意外性度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 人間ドラマ的なミステリーが好き

■作品について

ひと癖もふた癖もある受刑者との交流、刑務所内の部署間の対立、刑務官としての矜持――。
加賀刑務所を舞台に刑務官たちが繰り広げる、刑務所ミステリー。
閉じられた場所だからこそ、より濃密な人間関係が描かれる中で起きた5つの事件。
その真相と、それに向かう刑務官の思いとは。

■良かった点

犯罪小説は多くあれど、刑務所を舞台にした作品というのは意外と思い付かなかったりする。
「ショーシャンクの空に」(映画の題名)とかあるけれど、それともちょっと違う。
刑務所で、刑務官と収監された人たちの間で織り成されるミステリー。
仮出所した模範囚の失踪、暴力団から足を洗う“Gとれ”中に起きた入試問題流出事件、といった事件に対して刑務官たちが挑む。
そこにあるのは単なる事件ではない。
刑務所というのは恐らく私達が考える以上に濃密な人間関係があるのだろう。
犯罪者といっても様々で、心から反省しているもの、さほど深く考えていないもの、わけあって犯罪にはしったもの。
様々な人たちが一緒になって生活している。
そして刑務官たちは、彼らをただ監視する役割ではない。
二度と犯罪を起こさないよう、更生させるのが仕事であり役割である。
いかにして接するか。
近く、慣れ親しんではいけない。
だからといってただ厳しくすればよいわけではない。

そんな様々な人間関係、思惑がある中で発生する事件だから、その裏には単純ならざる思いがあるわけで。
その事実を知った時、どのように対応するか。
それもまた一つの読みどころである。

刑務所の内実とか知っているわけではないので、どこまでリアルに描き、どこまで物語として描いているのかは分からないけれど。
作品としては一つ一つの短編が楽しめた。
主となる人物も短編ごとで変わっていくけれど、違和感なく読み進められます。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

気になったのは文書紛失に関する事件。
総務部の小田倉の対応がやらかした、みたいな書き方になっているけれど、あれは普通の対応。
報告期限も迫っている中、何も事情を知らない小田倉としては上司に報告して情報共有、今後の対応を考えるしかない。
事情を知っていればこそ、その情報を手元に置いてみていることも出来たかもしれないけれど。

 

 

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