【作品情報】
作品名:かがみの狐城
著者:辻村深月
ページ数:554ページ
ジャンル:ファンタジー
出版社:ポプラ社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
優しくなれる度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 困難にぶちあたって落ち込みがちな人
辻村深月さんが放つ、優しいファンタジー。
鏡の向こうに通じていたのは古いお城。
そこに出入りできるようになった7人の不登校の中学生達と、彼らの前に姿を現した狐面の少女。
城に隠された鍵を見つけたら、なんでも願いをかなえてあげると言われた彼らは?
不登校だから当然、彼らにはそれぞれ事情があるわけで。
そんな彼らにとって鏡の向こうのお城は格好の逃げ場であり、同じ境遇の仲間たちがいる大事なコミュニティとなる。
皆と話し、遊び、同じ時間をともにすることで生まれていくもの、変わっていくもの、変わらざるをえないもの。
狐面の少女に最初に伝えられた期限である「1年」が来た時、彼らの身に起きたことは……
不登校の子、不登校の子を持つ親御さん、そうではなくても何かに躓いている人なんかにも響くのではないでしょうか?
私は単純に、お話しとして楽しく読めました。序盤に散りばめられていた伏線もきちんと終盤で全て回収し、綺麗にまとまって終わる
中学生達もそれぞれ全員が問題を全て解決できたわけではないけれど、一人ではなく出会った皆がいるから、勇気を出して一歩、足を進めることが出来るようになる。それまで檻に閉じ込めていた自らの心を少し、外に出せるよう頑張る。一人では難しいことでも、他の皆がいるから頑張れる、信じられるようになる。そんな精神的成長が感じられるようになるのは、読んでいてもなんか良いですね。
最後の幕引きも良かったです。
そしてなんといっても、辻村さんの作品がイマイチ苦手だった私が楽しく読めた、というのは大きいことかと。
いや、たまたま前に読んだ作品があわなかっただけかもしれませんが、そうなんですよ!
やはり文体とかあわない作者さんとかいますよね。一度そう思うとなかなかその人の作品を読もうと思わないのですが、今作は帯のあらすじに惹かれて購入して、最後まで楽しく読み切れました。うーん、凄い!
面白かったけれど不満がないわけじゃない。
序盤から出されていた伏線とか綺麗に回収はされているけれど、あまりに分かりやすい伏線。
むしろ登場人物の少年少女達よ、なぜ気が付かない!? と叫びたくなることも。 いや気付くだろ、というか普通に話していれば分かるというか話題にもあがるだろう。そもそも誰も不審に感じなかったのかい!?
といった思いが渦巻くところ。
文句を言いつつも一気読みでした(笑)
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