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エンタメ 書評

【ブックレビュー】心臓の王国(著:竹宮ゆゆこ)

更新日:

【作品情報】
 作品名:心臓の王国
 著者:竹宮ゆゆこ
 ページ数:512ページ
 ジャンル:エンタメ
 出版社:PHP研究所

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 心臓が掴まれる度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 勢いだけじゃない青春小説を読みたい

■作品について

十七歳の鬼島鋼太郎が出会ったのは、白いワンピースのような服に身を包む美青年。
「アストラル神威」と名乗るその青年は、『せいしゅん』をするために橋の上から川に飛び込んで溺れそうになるなど、
予測不能な行動ばかりをとり、鋼太郎を困惑させる。
鋼太郎と友達になりたいと言う神威に対し、面倒に巻き込まれたくない鋼太郎は、
悪い奴ではないと感じつつも、そのままその場を後にした。

しかし数日後、アストラル神威が鋼太郎の通う高校へ転入してくる。青春を謳歌しようとする神威に巻き込まれながら、
鋼太郎もともに高校生活を送るが、そのうちに神威が抱える「恐ろしい秘密」を知り――。

■良かった点

竹宮ゆゆこがお送りする全力青春小説。
と、思わせておいてラストはちょっと違う風に。

高校二年生の鬼島鋼太郎の前に突然現れたアストラル神威。
彼は、「せいしゅん」をしたいのだと言っては予測不能な行動をとって鋼太郎を、周囲を困惑させていくけれど。
ということで、鋼太郎と神威を中心とした、アホな高校生男子の青春模様が描かれていく。
ノリと勢いはまさに竹宮先生といった感じで、疾走感もあって一気に流れていく。

一方でそれだけではないのが竹宮作品でもある。
主人公の鋼太郎は、友人達には話していない家族の問題を抱えている。
誰にも話せない、誰にも分かってもらえない、その境遇を知っているのは、同様に家族問題を抱えている千葉巴だけ。
男子高校生の青春の話であり、そして家族の話でもある。

まーとにかく竹宮先生の表現であったり描写であったりは独特というか。
だけどそれがツボにはまると強い。
私も、読んでいて何度か声を出して笑いそうになってしまった箇所がある。
いや、「にしうりうれたろう」って酷いな・・・!

一章、二章はとにかく8割の明るさと2割の辛さで突っ走る感じ。
問題を抱えつつも、暗い感情をどこかに抱きつつも、鋼太郎は必至で17歳を生きていく。
神威もまた「せいしゅん」を全力で過ごしていく。

ラストの展開はまあ色々と意見が分かれそう。
これはこれでアリだけど、どうなんだろう。
ハッピーエンドじゃないけれどバッドエンドでもない。
こういう決着が良かったのかな。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

最初のプロローグとも言うべき部分。
ここを読んで、神威がどういう業を背負っているのかとか、わかる人は分かるかもしれない。
同じ匂いを感じさせる有名な作品があるので。
そして実際、それは間違っておりません。
まあ、悪いってわけじゃないですけど。

で、やっぱ巴との関係性をもっと深くしてほしかったんだよー。
ガリクソ女の巴、可愛いじゃん!


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