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SF 書評

【ブックレビュー】波の手紙が響くとき(著:オキシ タケヒコ)

更新日:

【作品情報】
 作品名:波の手紙が響くとき
 著者:オキシ タケヒコ
 ページ数:360ページ
 ジャンル:SF/ミステリー
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 マジかよ!? 度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : センス・オブ・ワンダーに痺れる

 

■作品について

音響を題材にしてちょっとした謎を解いていく短編連作
零細企業の武佐音響研究所に、「音」を起因として不思議な依頼が色々と舞い込んでくる。
それらのストーリーがつなぎあわされ、やがて最後に壮大な物語へとつながっていく。
そんな、SF音響事件簿!?

■良かった点

収録されているのは以下の4編。

1.「エコーの中でもう一度」
2.「亡霊と天使のビート」
3.「サイレンの呪文」
4.「波の手紙が響くとき」

いやはや、音に関することでこのような話が作り上げられるとは、本作を読むまでは思っていませんでした。
音のデータをもとに部屋の様子を再現するとか、そんなこと出来るんですね。
本書内に記載されている内容を読むと、本当に出来るんだなぁと思わせられる(現実的なのかどうか素人なのでよくわかりませんが)
人には聞こえるのに、録音すると何も録音されていない幽霊の声とか、どういうことなん? そう思いながら読み進む。
一つ一つはいわゆる日常の謎なんだけど、それを「音」でつなげているわけで、それが面白い。
短編連作なので、一つの話が終わるごとにわかること、繋がっていくことがある。
そして最後に辿り着く表題作、「波の手紙が響くとき」で一気に突き抜ける。
それまでの日常の謎の話から一気にがっつりとしたSF話へと転換する。
3本目までSFを感じなかったあなたも大丈夫、本格SFへと転じますから。

魅力的なキャラクター達はラノベチックでありますが、それが故に読みやすい。テンポもよく、一気に読み進められる。
カバー絵と文体で単なるラノベと思われそうですが、高レベルのミステリーであり、SF作品である。

なんつーか、思いつかないことを作品にしてくれたという感じ。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ミステリーを楽しんでいた人からすると、最後でいきなりSFになるので、SF素養がないと「えっ!?」となってついていけなくなるかも。
そう言った意味で、もしかしたら最後で一気に良い方向にも悪い方向にも評価が変幻する作品かもしれない。

 

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