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SF 書評

【ブックレビュー】新任少尉、出撃! 海軍士官クリス・ロングナイフ(マイク・シェパード)

更新日:

【作品情報】
 作品名:新任少尉、出撃! 海軍士官クリス・ロングナイフ
 著者:マイク・シェパード
 ページ数:608ページ
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 成長物語度 : ★★★★☆☆☆☆☆☆
 こういう人におススメ! : 美少女冒険譚ミリタリーものが好き

 

■作品について

父は首相、祖父は財界の支配者という一家に生まれたクリス・ロングナイフ。
本来ならお嬢様として暮らすはずの彼女だが、両親に反発して海軍に入隊、しかも下っ端からのたたき上げとして。
そんなクリスが新任少尉として就いた初任務は誘拐された少女の奪回だった。
そしてそこから、クリスの活躍(?)が始まる!

■良かった点

SFというか、宇宙を舞台としたミリタリーものかな。
美少女+ミリタリーっていうのは相性が良いですよね。
そして表紙のイラストは正解でしょう。
この辺が日本の良いところで、マッチョな女性が描かれていても嬉しくないですもんね。

クリスはお嬢様ではあるが、お金持ちで権力もある他の家族と比べれば一般人的常識も持ち合わせているようで。
もちろん軍隊で下っ端として(それでも少尉だけど)任務についても、ちゃんと上司に従う。
それでいて、ロングナイフ家の一員ということで色々と注意しなければならないのは大変ですね。

人情味もあり、周囲のことを考え人心掌握をして物事を動かしていく。
この辺はもしかしたら家族の影響を受けているのかもしれないが、上司よりも現場に近い人たちの人心を掴むってのが良いですね。
物語的に、誘拐された少女の救出、異常気象に苦しむ惑星の住民たちの支援など、わかりやすいミッション。
それらを舞台にしてクリスが活躍する様は、やはりSFというよりはクリスの冒険譚であり、またミリタリーものである。
文章もライトで読みやすく、物語展開ともあいまって難しいことはあまり考えずに楽しめる。
そういった点ではラノベに近い感覚だ。

クリスは完全に上官になっていくタイプですね。
そういうことを思わせ、これから出世していくのだろうなと思わせてくれる展開。
とはいえトラブルを呼び込む質でもありそうだし、この先にどのような事件に巻き込まれていくか、楽しみである。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

クリスが優秀すぎないか?
頭が良くて度胸もあって、家は金持ちで権力もあって美人(胸は大きくないようだが)
もちろん上官には逆らえないなど軍人としての制約はあるけれど、ご都合的なのは否めない。
クリスが新任少尉なのに有能過ぎて、成長物語としては見られない感じかな。
まあ、それ含めてエンタメ作品だから良いのですけど。

 

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