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【ブックレビュー】ミモザの告白 (5) (著:八目迷)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ミモザの告白 (5)
 著者:八目迷
 ページ数:422
 ジャンル:エンタメ
 出版社:小学館

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 ハッピーエンド度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : シリーズ読んできた人

■作品について

咲馬の衝撃的な告白から、日々は流れる。咲馬と汐は以前よりも二人で過ごす時間が増え、その関係をより深いものにしていった。
だがそこに、咲馬が最も苦手で忌避する人間が介入してくる。
巧みな話術で周囲を翻弄する詐欺師のような男、世良。
彼は咲馬の価値観を揺るがすような事態に巻き込んでいく。

世良の思惑に振り回されながら、椿岡高校二年生の生徒たちは、修学旅行を迎えた。

初の北海道で盛り上がる咲馬たちだったが、そこにも世良の魔の手が忍びよる。
世良との決着、そして汐との関係に最大のターニングポイントが訪れる。
咲馬たちの旅路は、まったく予想外の方向へと進行していった。

■良かった点

いよいよシリーズ最終巻。
友人関係や家族との関係について、完全に解決とまではいかなくても着地点というか折り合う点が見つかって。
残すはいよいよ咲馬と汐の関係のみ。
4巻のラストで、咲馬は汐に付き合おうと言う。
それを受けてのこの5巻、果たして二人の関係性はどうなるのか。

咲馬は汐と付き合おうと言うが、完全なる恋人同士の関係性かというと少し違う。
汐のことは好きだし魅力的だと思うが、それはあくまで親友という見方が強い。
どんなに見た目が可愛くなっても、咲馬の中には小学生の頃からつきあってきた汐の姿があるわけで、そう簡単にいくわけではない。
そういう中途半端な咲馬の気持ちを分かっているけれど、汐は咲馬の告白、というか提案を受け入れて付き合うことに。
しかしながら当然、二人だけの世界に生きているわけではないので、周囲からの目やら何やら発生する。
特に踏み込んでくるのが世良。
容赦のない世良の言葉は、咲馬が自覚していなかったこと、あるいは分かっていたけれどあえて封じていたことを浮き上がらせる。

正直、咲馬は考え足らずであったり、言動もかなり思い付きで、読んでいて「おいおい」と痛く感じることも多々あります。
とはいえ咲馬は高校生。
経験も知識も少なく、自分が生きてきた世界の中で知ったことを元に行動するしかできないのも事実。
本人なりに一生懸命で真剣なだけに、その空回りっぷりがキツかったりもするのですが。
ただ一つ良いのは、汐に対して適当な嘘はつかないこと。
付き合うと言っても、やっぱり肉体的な、性的なことには躊躇するし嫌悪感を抱いてしまう。
汐のことが好きだと言うのとはまた別でどうしても発生してしまう問題を、隠さない。
いや、まあ、当初は隠そうとしましたけれど、隠せるもんでもないっていうか。そこをちゃんと描いているというか。
その上で、じゃあどこまで咲馬と汐が歩み寄れるのか、というところを見せている。

汐の気持ちは変わらないけれど、汐も咲馬の思いは分かってしまう。
二人が望むものが決定的に異なるだけに、どう着地するのかというところなのですが。

全てが丸く収まったハッピーエンドなんてないのかもしれない。
それでも二人なりに見つけた着地点には収まって、良かったのではないか。
更にそこから先、二人がどうなっていくかはまた二人で見つけて歩いていくのでしょう。

ラノベで重いテーマを描いてきちんと終わらせて、内容的にも読ませてくれる。
そんな作品でした。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

最後までありがとうございました。
更なる二人の未来・・・は読者の想像にお任せ、ですかね。

 

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