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エンタメ 書評

【ブックレビュー】ミッション建国(著:楡周平)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ミッション建国
 著者:楡周平
 ページ数:432ページ
 ジャンル:エンタメ
 出版社:産経新聞出版

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 政策実現度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
 こういう人におススメ! : 今の日本が抱える問題を考えたい

 

■作品について

少子高齢化が急速に進んでいく日本。
国民があってこその国だというのに、このままでは日本が滅んでしまうのも時間の問題。
どうすればこの問題に解決の道筋を見つけられるのか。
若き政治家が正面から挑む、政策提言小説。

■良かった点

日本が直面している数多くの問題をあげ、それらに対してどうすれば解決できるのかを問うていく。
どのような政策が有効なのか。
「少子化」、「高齢化」、「介護問題」、「過疎・限界集落」、「憲法改正」、「年金、社会保障」、「国の借金」
今までの政治家たちが先送りにし、何一つ解決のめどが立てられていないのは誰もが知っている事実。
それらのことを本気で憂い、正面から取り組もうとするのが主人公の甲斐。

甲斐は勉強会を立ち上げ、そこで解決するための政策を色々と考えていく。
具体的な政策内容が示され、それが実現すればもしかしたら少子高齢化も少しは歯止めがかかるかも?
そう思わせてくれるのは楡さんの腕か。
もちろん、本当にそんなことできるのか? 実現したとしてそううまくいくのか?
そういう思いはあるものの、何も代案を出さず文句を言い現状を非難しているだけでは何も進まない。
オリンピック選手村を子育て住宅にして、大規模オンライン講座MOOCで誰でも教育を受けられるようにすることで教育格差をなくし、、子育てを終えた女性を第二新卒で採用する。
どれも、本当にうまくいったら凄い。

前例がない、当たり前だ、誰もやったことがないのだから。
だからこそ、やらなければ意味がないし、やってみないと分からない。
試しにやってみたらいいじゃない。公共事業に無駄な金を注ぎ込むくらいなら本当にね。

本書でも言われているが、オリンピックでの特需は良いとして、その後はどうなるんでしょうね。
公共事業は、作った後は維持費がかかるのに、その採算がなんであんなに甘いのでしょう。
一般企業じゃありえないですよね、それで誰も責められない、責任取らされないとか。

しかし、国政の場で政策を通そうとしても、そう簡単には通らない。
ならば、と考えた策が、そういうやり方もあるのかと思わされた。
もちろん、それが出来るのは主人公の甲斐がサラブレッドであるからなのだが、そういう実行力がある人が動けば意外とアリなんでしょうかね?

■ここが改善できるともっとよかったかも?

なんか序盤に出てきた勉強会の人や、甲斐に賛同するような人たちが、中盤からさっぱりでなくなった。
あとあとで出番あると思いきや、まさかのフェードアウト。
これにはちょっとびっくりした。

 

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