【作品情報】
作品名:むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり
著者:野村美月
ページ数:288
ジャンル:エンタメ
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
狂気度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 本と本屋さんがが好きな人
店長の急死に伴い、閉店することとなった町の最後の本屋さん。
そこには、閉店を惜しんで思い出の本を持ってくるお客さんが後を絶たない。
そこにやってきた、本の声が聞こえるという少年むすぶ。
彼は生前に店主から、店主に何かあったあとのことを頼むと言われていた。
そんな、本屋さんに関わる人達のお話。
本の声が聞こえるというむすぶ。
そんな彼の彼女も本で、嫉妬深い彼女(本)と会話をしてしまう。
傍から見れば、痛い中二病の彼ですが。
そんなむすぶがやってきたのは、とある東北の街に一軒だけ残されていた本屋さん。
人が本を読まなくなり、紙の本が売れなくなり、一軒、また一軒と店を閉じていく街の本屋さん。
最後の一軒として残っていた幸本書店も、店長の急死により閉店を余儀なくされる。
様々な人に本を届け、同時に本以外の何かも伝えてきた幸本書店。
閉店を知り、かつて本に、本屋に助けられた人や、何かを貰った人たちが想い出の本とともに訪れてくる。
思い出される過去。
そう、かつては沢山存在した町の書店も、大型書店ばかりが残るようになってしまいました。
それはそれで品ぞろえがあって良いのですが。
小さな書店にはそれぞれ店によって特徴があり、色んな本屋さんを巡っていくのも一つの楽しみでした。
私も昔は街にあった本屋さんを5~6軒、時にはそれ以上、見て回るのが週末の楽しみでした。
時代の流れで仕方ないとはいえ、寂しいものです。
それでも、本屋さんが残してくれた思い出は決して消えるものではない。
そういう思いを呼び起こさせてくれる一冊。
電子はかさばらなくて良いというのはありますが、やはり装丁、手触りなど含めた紙のすばらしさ。
書店内を歩いて棚を見ながら思いがけずに発見する一冊。
そういうのは、リアル本屋さんじゃないと出来ない経験。
もっともっと、本屋さんには頑張ってほしいから、電子も買うけれど、本屋さんでも購入し続けます!
本と話す少年、とかそういう設定が駄目な人は気を付けて。
あと、店長は良い人なのに、その最期が悲しいですね。