【作品情報】
作品名:叙述トリック短編集
著者:似鳥 鶏
ページ数:304
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
叙述トリックに騙される快感度 : ★★★★★★☆☆☆☆
こういう人におススメ! : 叙述トリックに挑戦したい
世に色々な名作、迷作が出ている叙述トリックの作品。
ミステリーのトリックの中でもしばしば使われる叙述トリックはともすればアンフェアともとられかねない。
そんな叙述トリックに真っ向から立ち向かったのが本作。
最初から、作品には叙述トリックが使われていると謳われているのだ。
果たして読み手は、その上でトリックを見破ることが出来るか?
叙述トリックといわれて思い浮かべるのはあの名作・・・・
って、タイトルを言ってしまうとそれだけでネタバレになってしまうので書きませんが。
ミステリー好きなら、そういう作品の一つや二つ、脳裏にあるかと思います。
本作は、最初から、収録されている作品は全て叙述トリックを使っていると宣言しています。
いわば、最初から読者への挑戦がなされているといってもよいでしょう。
そのうえで作者のトリックが勝つのか、読み手が見破るのか。
まあ、そんなこと最初から考えず楽しんで読んでも全く構わないですが。
収録されている作品の中では「背中合わせの恋人」が個人的には良かったです。
うーん、しかし、叙述トリックとわかっているのは良いですが、何か書こうとするとネタバレになりやすいですね。
トリックはともかく、文体が、おそらくわざとでしょうが多少まわりくどい書き方になっているので、気になる人は気になるかもしれません。
各短編は、当たり前ですがどれも叙述トリックが使用され、注意して読めばわかるだろうけれど、ざっと読んでいると気が付かない、そんな感じでなかなか良い塩梅になっていると感じました。
まあ、比較的分かりやすいものもあります。
あまり肩に力を入れず、「トリックを見抜いてやる!」とか気張らず、すーっと読んでいき自然と分かったならよし、くらいのスタンスの方が良いかなと感じました。
あざやかに騙された!
という感じの作品まではなかったかな。
無駄に思える文も多々あり、気に入らない人は気に入らないかも。