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ギャグ・その他 マリア様がみてる

【マリみてSS(色々・ネタ)】小ネタ集35 ノーマルCPショート14

更新日:

 

<1>

「うーん、まさに海水浴びより!」
真っ青な空に白い雲、太陽の光で輝く水面、熱くやけた砂浜。
夏休みということもあり、砂浜はごった返しているが、そんな大勢の男の注目を浴びていることにも気がついていない。
淡いグリーンのポイントリボンチェック柄のビキニ。形の良い大きなバストに魅力的な谷間。
細くくびれた腰に、健康的な太腿、ふわふわと揺れるポニーテール、好奇心の強そうな瞳に生命力にあふれた笑顔。
そんな彼女を見つめていたうち、意を決して声でもかけようかと足を踏み出しかけた男。しかし。
「あっ、祐麒くーん、こっちこっち!」手を上げて、ぶんぶんと振り回す。
なんだ、男がいるのかと、舌打ちをしながらナンパしようとした男が振り向いてみて驚く。
「お母さん、ふらふら遊び歩いたらダメでしょーっ!?」
「あはは、ごめんごめん絆ちゃん、ついふらふらーっとね」
子連れだった。しかも、十歳くらいの女の子だ。美女が二十代前半くらいと思っていただけに、男はショックを受けていた。
「ママー、うみ、うーみーっ」
「ほら、暴れない」三歳くらいの女の子を抱っこして、小学校低学年くらいの女の子と手をつないで登場したのはもちろん祐麒。
「むむ、祐麒くん、どーんっ」
「うわっ、い、いきなりどうしたんだよ三奈っ?」
「だってー、由香利ちゃんとばっかりイチャイチャして、ずるいからっ」
拗ねた顔をして祐麒に抱きついている三奈子。冗談ではなく、本気で娘に嫉妬しているのだ。
祐麒としては、三奈子の胸が押し付けられて嬉しいだけ。まあ、昨夜も存分に堪能しているのだが、全く飽きることなどない。
「あ、わたしもーっ」と言って、手をつないでいた亜優もしがみついてくる。
「こらーっ、祐麒くんは私のだからねーっ、って、絆ちゃんは来なくていいの?」
「そ、そんな恥しいこと、できるわけないじゃんっ」
頬を膨らませつつ、それでも気にしたようにちらちら祐麒を見る絆であったが。
「……っ、みんな見ているし、恥しいからお父さんから離れてよーっ!」
結局、絆も祐麒に飛びつく。
「祐麒くん、ハーレムだね」
真夏の太陽の下、気温よりもよっぽど熱い祐麒達なのであった。

 

<2>

「可南子、ちょっと聞いてくれる?」
「は? 何よ、一体」
話しかけてきた実の母親に対し、非常に冷たい口調の可南子。読んでいた本から顔を上げ、母の顔を見る。
「可南子あんた、来年には弟か妹が出来るから楽しみにしてなね」
「ぶふっ!?」いきなりの爆弾発言に、吹きだす可南子。
「な、ななっ、い、一体、だ、誰の、い、いつっ」
「誰って、あたしと祐麒くんのに決まっているじゃない。いやー、なんか照れるわよねー」
全く照れた様子もなく、笑いながらお茶をすする可南子の母。可南子は、呆然としている。
「でも、毎日励んでいた甲斐があったわー。若いって素敵よね」
「え、ま、毎日? 励んで?」
「あー、うん、まあ色々とね。さすがに可南子のいる家じゃ出来ないから、まあ、色々と」
「ちょっと、嘘でしょお母さん、な、何、そんなこと」
「でね、このこと話したら、祐麒くんからプロポーズされちゃった。ほら来年には祐麒くんも卒業だし、18歳になるし」
このときばかりは少し恥しそうに、わずかに頬を赤くしながら、それでも嬉しそうに笑う母。
母親と祐麒が付き合っているのは知っていたが、どうせすぐに別れると思っていた。何せ年が離れすぎている。
世間体だってある。祐麒のことを考えたら、可南子の母となんか別れた方が良いにきまっているのだ。
何せ、子持ちのバツイチ、しかもその子供がほぼ同じ年で、祐麒自身がまだ学生という身分なわけで。
「ざーんねん、あたしも祐麒くんも、お互い幸せだと思っているから。あたしもあたしの幸せが欲しいしねー」
にやりと笑う母親。確かに、祐麒と付き合い始めてから、目に見えて肌がつやつやして若返ってきていると思えたが。
「あー、それはね、やっぱり若い男の子の精をもらっているからかしらねー」
「あ、あ、悪夢よ、なんで父と母がそろいもそろって……」
頭を抱える可南子。一方の母親は、あっけらかんとしたもの。
「さーって、今日もこのナイスバディで祐麒くんを幸せにしてあげよっかなー。祐麒くん、おっぱい好きだから」
「いやーーーーーーっ!!!!」

 

<3>

「ほらパパ、しっかりして。あと少しだから頑張って」
「ぱぱー、がんばれー」
「あとすこしー」
「ふぁいとおー」
妻の声に続いて、可愛らしい三重奏が耳に届いて、祐麒に力を与えてくれる。
これならば、重い荷物とて幾らでも持てそうな気にもなるというもの。
「あらこんにちは。いつも賑やかで楽しそうですねぇ」
「「「こんにちはー」」」
近所のおばさんにも、にこやかに挨拶。確かに、いつでも騒がしくて、楽しい日々を送っている。
何せ母親に似た三つ子の女の子だ、好奇心旺盛で、行動力があって、大人しいのは寝ているときくらい。
「パパどうしたのー、昨夜頑張りすぎちゃって、腰でも痛いのカナー?」
「ちょっ、ママ、そういうことを言わない!」慌てて左右を見回し、誰もいないことを確認する。
悪戯がばれた子供のようにぺろりと舌を出す江利子。昔から変わらず、今もこうして祐麒を自由に振り回す。
荷物を持って両手が塞がっている祐麒の背後にまわって肩をつかみ、江利子は軽く背伸びをして耳元に口を寄せる。
「……頑張って格好いいところ見せたら、今夜はパパが大好きな制服コスしてあげちゃおうかなー」
「お、おおおーっ」気合いを入れて荷物を力強く上げて見せる。なんか完全に飼いならされている気もするが仕方ない。
男の悲しい性というか、一度知ってしまったらやみつきになったって無理ないではないか。
何せ江利子だって未だ二十代、学生時代の可愛らしさが失われることなく、美しさは一層増しているくらい。
「よーっし、それじゃあお家までパパを押して行ってあげようかー」
「うんー、おすーっ!!」
「うわっ、ちょっ、いきなり押したら危ないって、っと」
「ほらほら、娘達に手伝ってもらうなんて、格好良くないぞ、パパ♪」
美しい彼女と可愛い娘達に背中を押される買い物の帰り道。
今も昔も、引っ張られても押されても、ずっと心も体も振り回されっぱなしなのであった。

 

<4>

「いやー、まさか私が結婚して、子供まで産むなんて思ってもいなかったねー」
まるで人ごとのように言いながら、紅茶を口にする聖。
「またそんなこと言って聖さまったら、立派なお母さんじゃないですか」
「あ、こら、また『聖さま』って言ったね。今は私の方が妹なんだから、もう何年経つと思ってるの」
「うー、でもそんなこと言われても、やっぱり聖さまは聖さまなんで」
「だめ、『聖ちゃん』か『聖たん』って呼ばないと、私も『祐巳お姉さま』って呼ぶからね」
「あああ、それはやめてください~~っ!」
福沢家のリビング、ほのぼのとした時間。周囲も驚いた聖と祐麒の交際発覚から月日も随分と流れた。
聖と祐麒はめでたく結婚し、意外なことに聖は福沢家に嫁入りし、しかも子供までもうけている。
在宅で翻訳の仕事をしているので、家事もこなせるし、両親や義姉である祐巳との仲も良好である。
「さてと、そろそろ坊主が目を覚ます頃かな。ちょっくら見てきますかね」
立ち上がり、背伸びをする聖。子供を産んだとは思えないプロポーションはいまだに健在。
「はー、それにしても聖さま、ますます男前になっていきますねー」そんな聖を見上げながら、祐巳は呟く。
一時期は伸ばしていた髪の毛はショートになり、元々の顔立ちもあり、中性的な美青年にしか見えない聖。
常にパンツルックでもあるし、仕事上でも相変わらず可愛い女性には甘い顔をしているようだ。
「そんなんで祐麒、怒ったりやきもちやいたりしてませんか? あいかわらずプレイボーイなんですから」
「あははっ、もう諦められているよ。ま、大丈夫だよ、ねぇ祐麒?」
いつの間に帰って来ていたのか、祐麒がリビングの入り口に姿を見せていた。
微妙に困ったような表情をして、聖と祐巳の顔を交互に見やり、苦笑しながら頭をかく。
祐麒の方に歩み寄り、横に並んでくるりと反転、祐麒の肩に手を置いて祐巳の方を見て口の端を歪める。
「それに、こう見えてベッドの上では可愛い女の子として祐麒に色々と尽くしているんだから、ねぇ?」
「ばっ、な、ちょっ!?」
真っ赤になって目をむく祐麒と、全く同じような顔をしてやっぱり赤面する祐巳。
「あははっ、やっぱり二人はいいねぇ。おっと、坊主が起きちゃったみたい。はいはい、パパも大好きなおっぱいあげまちゅからねー」
泣き声が響き渡る。それは、とても幸福な音色であった。

 

<5>

「あの、こんな感じでどうでしょうか、お義母さま?」
「うん、いい感じじゃないかしら、とっても美味しいわ」
「本当ですか、良かった」
「ふふ、こんなに蓉子ちゃんに想われて、本当に祐麒は幸せ者ねぇ」
にこにこと微笑む義母である祐麒の母に見られ、赤面する蓉子。福沢家に嫁入りして間もなく一年、まだ初々しさは失われていない。
「でも、心配しなくても、祐麒だったら蓉子ちゃんの作ったものならなんでも美味しいって言うと思うけど」
「そ、それはそうなんだけど、でも本当に美味しいって思ってもらいたいから」
「あ、なんかあっさりと惚気られた」
「そ、そういうわけじゃ。もう、か、からかわないでよ、ゆ、祐巳お姉ちゃん」
照れて赤くなりながら、義姉である祐巳を見返す蓉子。
当初、今まで通り『祐巳ちゃん』でいいと祐巳は言っていたのだが、真面目な蓉子はけじめをつけないと言い張った。
頑固な蓉子に根負けしたわけだが、祐巳の方があっさりと『蓉子ちゃん』扱いに慣れたのに対し、蓉子はまだ恥しそうに言いよどむ。
まあ、祐麒と結婚する前、付き合っている頃から福沢家では『蓉子ちゃん』扱いだったので、それで慣れていたのだが。
普段は凛々しいが、祐麒のことになると途端に可愛らしくなる年上の義妹。つい、からかいたくなってしまうのも仕方ない。
学園時代には想像もできなかった関係に、祐巳自身も驚きはしたが、なんだか楽しい。
「ただいまー」
玄関が開く音とともに、帰宅を告げる声は間違いなく祐麒のもの。蓉子の体がビクンと反応する。
一歩、足を踏み出しかけて、料理の途中であることに気がついて鍋に目をやり、でもまた玄関の方に顔を向ける。
そんな蓉子を見て、祐巳と母親は顔を見合わせ、くすくすと笑う。
「ほら蓉子ちゃん、お料理は見ていてあげるから、行ってらっしゃい」
「そうそう、出迎えてあげないと祐麒が可哀想だから、行ってあげて」
「あ、は、はいっ、それではすみません……」
ぺこりと頭をさげ、申し訳なさそうにキッチンを後にする蓉子だったが。
「お帰りなさい、祐麒くんっ」
玄関の方から聞こえてくるそんな声は、とても弾んだもので、祐巳と母はまたも顔を見合わせて笑うのであった。

 

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