【作品情報】
作品名:彩無き世界のノスタルジア
著者:行成薫
ページ数:280
ジャンル:エンタメ
出版社:集英社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
映画っぽい作り度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 前作が好きだった人
過去を捨て、裏社会で生きる「交渉屋」のキダ。
キダに仕事を発注、交渉時に使用する銃器や爆発物を調達するなど、表向きの輸入代行業とは別に裏稼業を営む会社「川端洋行」に、ある日両親を殺されたという少女・彩葉(いろは)が訪れる。
その子の世話を押し付けられたキダは彩葉を匿うことになり、奇妙な共同生活がスタートする。
彩葉と暮らすうち、孤独に暮らしていたキダの世界に鮮やかな色が満ちていく。
しかし、その裏で蠢く影が、次第にキダを飲み込もうとしていた。
やがて明らかになる彩葉の真実とは――。
切なく忘れがたい「企み」の物語。
『名も無き世界のエンドロール』の続編。
前作から5年後の世界を舞台に描かれる。
前作は前作で完結していたけれど、登場人物たちの日常は続いていく。
キダもまた、「交渉屋」として実績を積み重ねて生きていた。
そんなキダの前に、両親を殺されたという少女・彩葉が訪れる。
なぜか彩葉に気に入られたキダは、彩葉と不思議な共同生活を過ごしていくようになる。
かつての友人達を失い、孤独で灰色の世界を生きてきたキダの世界が、彩葉によって文字通りに彩られていく。
裏の世界に生きるおっさんのもとに訪れた少女。
そう、「レオン」を思い出させますね。
もともと前作も映画を意識した作りになっていましたし、これはあえて狙って作ったのだろうと思えますね。
ある意味であざといともいえますが、それでも彩葉の存在がうまく作品にマッチしているのも確か。
キダだけでは物足りない。
だけど前作のヨッチやマコトはもう出ないわけで。
ならば新しいバディを付けるしかない。
もちろん彩葉だってただの子供というわけではない。
キダのもとにやってきたのには理由がある。
キダを巡る複数の人たちの思惑、関係性。
映画的なキャラ、展開だけど、それが合っている。
文章や展開も前作より読みやすくなっていて、個人的にもこっちの方が好き。
前作を読んでいた方が楽しめるというか、やっぱ読んでないと面白さが半減するので、まずは前作から。
キダと彩葉の生活が続いていくのを妄想しましたが、まあ無理だよね。