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エンタメ 書評

【ブックレビュー】第二開国(著:藤井大洋)

更新日:

【作品情報】
 作品名:第二開国
 著者:藤井大洋
 ページ数:400
 ジャンル:エンタメ
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 奄美大島にいきたくなる度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 社会的テーマを扱った作品を読みたい

■作品について

父親の介護のため地元・奄美大島にUターンした昇雄太。
長年過疎と人口減少に悩まされていた町は、巨大クルーズ船寄港地を中心としたIR誘致計画により、活気を取り戻しつつあった。
この事業は、圧倒的巨大資本の力で雇用創出とインフラ整備を実現し、町の、そして日本の救世主となる――多くの島民がそう思っていた。
ところが計画が着々と進むある時、昇はクルーズ船〈エデン号〉の前代未聞の事業内容を突きつけられる。
門戸開放か排斥か。様々な思惑が渦巻く計画を前に、島民たちの決断は?

■良かった点

奄美大島を舞台とした物語。
地方や離島の問題と言えば、過疎化、人口減少。
それらの解決に向けて各地が行うのが町おこしや村おこし、要はそこに魅力的なものを作り出して人を呼ぼうということ。
奄美大島が考えたのが、巨大クルーズ船寄港地を中心としたIR誘致計画。
この手の事業を行えば、当然ながら賛成派もいれば反対派もいるというもの。
しかし今回の事業は、島の自然などにも考慮した計画が考えられており、賛成多数の中で推進されていく。
ところがどっこい、この事業の計画の裏には、実は全く別の意図があって・・・というもの。

単に人口減少に悩む過疎地の復興物語ではない。
町の人々の悩みや思い、そしてもともと計画を立案して持ち込んだ側の思い、そうした様々な人たちの思いが絡みあったドラマである。
作品の中でも触れられているが、IRや観光といった事業では、うまくいったところで来る人は限られる。
楽しんだとしてもすぐに帰ってしまい、その地に根付くわけではない。
ましてや平日や閑散期などであれば、どれほどのものか。
ハコモノを作り、失敗してきた地方の都市などは数知れない。
それよりも重要なのは、その地に根付くような人をどれだけ増やすことができるのか。
それを解決するための事業計画であったりする。

この計画が果たして本当に現実的なのか?
それは私には分からないけれど、こういう考え方というか方向性もあるのだろうなと思わされるのは確か。
町の人にも様々な立場と考え方の人がいるし、事業側にしても投資する人、事業を実現することで自分の望みをかなえたい人、さらに計画を巡って警察・公安も関わってきて、何が正しいとは言い切れない。
単に、「これが正解」というのではなく、色々な立場の人の考えや思いを混ぜ合わせて着地点を探る。
そういう風に出来たら、本当に良いのでしょうけれどね。現実にはなかなか難しい。

社会テーマをエンタメ的に落とし込んだ一作。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

作者が藤井さんで、タイトル的にもSF的要素があると思わされたが、読んでみるとそういう作品ではなかった。
だからSF的展開を期待して手に取ると、あれっ? と思うかもしれない。

あとは、盛り上がりには欠けるかも。

 

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