【作品情報】
作品名:セイレーンの懺悔
著者:中山 七里
ページ数:317ページ
ジャンル:ミステリー
出版社:小学館
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
どんでん返し度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : マスコミ報道に疑問を持つ人
女子高校生誘拐事件。
度重なる不祥事を起こしたテレビ局では起死回生の為にスクープを狙う。
誘拐事件はやがて、少女の死体が見つかることで殺人事件へと変わるのだが、それを追いかけていく主人公たち。
苛めに端を発しエスカレートした殺人と思われたが、様相が途中から変わり・・・・?
マスコミのありようにもメスを入れたミステリー。
今回の作品ではマスコミの側に立ち、報道のやり方とか考え方といったものを描いており、そっち側の視線で事件を追ったり見たりするのは意外となかったりするので、新たな目線で見ることが出来る。
そうか、メディアってやっぱりそうなのね、そういう人が多いのね。そう思う反面、報道に情熱とプライドを注いでいる人も当然いるだろうし、単純にひとくくりにはできない。
まあ、テレビとか見ていると、相手のこととか考えず、利己の為にやっているようにしか見えないが(苦笑)
そういった意味で、立場が異なるから当然、謎解きやミステリーに重きが置かれているわけではない。
その辺は、警察の方からの発表を受けて、「あ、そうなんだ」という感じで犯人やその動機なんかがわかるのは、あっさりしているけれど報道の立場からすればそうなんだろうなと感じ取れる。
主人公の多香美は入社してまだぺーぺーの若手なので、情熱や矜持を強く持った、言うならば青臭い。
理想と、自分の力のなさの現実、そういったものの間に揉まれ揺れ動く様がよく描かれ、ある意味痛々しい。
犯人と思った人が犯人ではない。
中山さんらしく、物語終盤では何度もその辺を裏返してくれるのはさすがというところ。
特に最後はあまりにやるせない。
報道も人を殺す。
肉体的な意味ではなく、特に今の時代、簡単に社会的に抹殺されてしまう。
マスコミが持つ力は強大だ。
改めてそのことを感じさせられる作品だった。
まあ、主人公の多香美の言動がちょっと、というところが多々ある(苦笑)
青臭く直情的といえばそれまでだけど。
あと、最後の一行はどうにかしてほしかったです!
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価格:1,555円 |