【作品情報】
作品名:依存したがる彼女は僕の部屋に入り浸る
著者:萬屋 久兵衛
ページ数:328
ジャンル:エンタメ
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
依存症度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 大学生のモラトリアムな雰囲気が好き
夢の大学生活、夢の一人暮らし――全然ひとりにさせてくれません
大学近くで一人暮らしを始めて3ヶ月。
その部屋には――文芸サークルの清楚系美少女・西園寺春香が常に入り浸っていた。
その可憐な見た目とは裏腹に、お酒に依存する彼女にとって、深酒で寝坊しても講義に間に合うこの部屋は都合が良いらしい。
「襲えるなら襲ってくればいい。でも君、ボクをどうこうするつもりはないだろ?」
と、朝も無防備な下着姿を晒しながら安心しきっている。
「ちょっとぐらいなら相手するよ?」
なんて挑発もしてきて――。
さらに、彼女のほかにも大学でも有名なS級美少女たちが理由をつけては部屋に転がり込んできて――!?
彼女が依存してきたものは、彼と過ごす中で形を変える――。
大学生が主人公のラノベってあんまりないような気が。
単に読んだことがないだけかもしれませんが。
大学に入学し、一人暮らしのモラトリアムを満喫している、はずの主人公のもとに3人の美女が転がり込む。
学校に近い、色々と気にせず自分の好きなことができる。
理由は色々あろうが、その3人がそれぞれ酒カス、パチンカス、煙草カス、という連中で。
主人公は主人公で、枯れているというか悟っているというか、そんな美女たちが集まり、あられもない姿を見せても何をすることもなく。
そんなことあるか?
と思いつつ、そんな主人公だと分かっているから、彼女たちも安心して男の部屋に入り浸っているわけで。
物語としては3人の美女とのやり取りを中心に、主人公と美女の一人西園寺が属している文芸サークルのメンバーとの交流も描かれる。
どこかまったりしたというか、ゆったりとした感じで展開するのは、主人公に覇気がないせいだろうか。
まあ、これだけの美女を侍らせながら、何もしようとしないくらいですからね。
だけど3人の美女たちも、実は主人公に劣らずコミュ障的というか。
その依存しているものゆえに、そして持っている容姿ゆえに、色々と抱えているものもあるようで。
だからこそ、構ってこない主人公や他の子達との関係性が心地よくもある。
そのままで良いとも思わないけれど、ぬるま湯が心地よい。
まさにモラトリアムか。
だけど、そんな中で少しでも前に進もうとしたりしなかったり。
そんな日常を描いた一作。
コメディでもラブでもない、今のところは。
主人公の台詞が一切ない一人称の文章、というのが特徴的であるのだが。
ラノベの魅力の一つに、登場人物同士の軽妙な会話ややり取りというものがあると思っているけれどそれが一切感じられない。
一応、主人公がこういう風に思ってこういう風に返した、というのは地の文で描かれているんだけど。
それ故にリズムというかテンポもあまりよくなく、読むのにも時間がかかった。
こういう形式が合う人は良いかもしれないけれど、人との交流をメインにした作品だけにどうかと思った。