【作品情報】
作品名:白銀の墟 玄の月 第三巻
著者:小野不由美
ページ数:384
ジャンル:ファンタジー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
盛り上がってきて先が気になる度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 十二国記をまちわびていた人でしょ!
李斎は、荒民らが怪我人を匿った里に辿り着く。
だが、髪は白く眼は紅い男の命は、既に絶えていた。
遅かったのか。
驍宗は既に亡くなったのか?
絶望にとらわれる李斎。
一方、泰麒は王宮で阿選へと迫る。
驍宗は、阿選は、そして泰麒の、戴の行く末は-
一巻、二巻がとにかく重く、なかなか話が進まなかった。
戴の窮状、民が困っている様子はひしひしと伝わってくるものの、それゆえに読み進める手も重くなっていた。
しかしこの四巻組、まさに起承転結となっているようだ。
というのも、この三巻にきてようやく話が大きく動き出し、「転」の展開となるからである。
鳩の謎の正体。官や、州候たちの傀儡化。
貧しい親子が自分たちの僅かな食糧などを籠に入れて川に流した先にあるもの。
ある程度予想できた部分はあったものの、だからといって読んだときの面白さや楽しさが失われるものではない。
意外性を求めるものと、そうではなく王道を求めるもの。
十二国記シリーズはどちらかといえば王道を進む方だろう。
だからこそ、多くの人が楽しめるというのもあると思う。
苦境に陥っている王と、王を捜す部下たち。
圧政ではないけれど、民を苦しめる新王。圧倒的な力に対抗する虐げられた勢力。
読み手としては当然、後者に感情を移入する。
苦しみが積み重なっていたからこそ、光が見えた時の嬉しさはひとしおである。
それにしても、泰麒の心の強さよ。
こんなにも強かであるとは、最初からは想像も出来ないですね。
それだけ辛い目に遭ったともいえるし、もともと心が強かったともいえるし。
また今巻ではようやく、阿選の心の内が分かります。
驍宗に対する思い、なぜ驍宗を討とうと思ったのか。
うーん、分かるようなわからないような。
でも、王となりながら民を、国を放置しているのは許されることではありません。
さあ、いよいよ終幕に向かってです。
今回の転を経て、果たしてどのような結を迎えるのか。
楽しみでもあり、寂しくもある気持ちを抱えて四巻を手に取ろう。
なお、今回は李斎が表紙で嬉しかった。
李斎、好きなんですよ。
とりあえず、早く先を読みたい。
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