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ミステリー 書評

【ブックレビュー】放課後に死者は戻る(著:秋吉 理香子)

更新日:

【作品情報】
 作品名:放課後に死者は戻る
 著者:秋吉 理香子
 ページ数:256ページ
 ジャンル:ミステリー
 出版社:双葉社

 おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
 どんでん返し度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 学園青春ミステリー? 好き

 

■作品について

病院で目が覚めると、不細工な鉄道オタクだったはずの自分がイケメンになっていた。
自分は崖から落ちて死んだのではなかったのか。いや、殺されたのだ。
どうやら、助けに入ろうとしたイケメンと入れ替わって生き延びたらしいと知った少年は、イケメンの姿で元の学校に転入する。

自分を殺した犯人を見つけ出すために。

■良かった点

「入れ替わり」というのはちょいちょい使われるギミックである。
本作では入れ替わったことから、自分を殺した犯人を捜そうという趣向のミステリー。
なぜ入れ替わったのかとかは気にするところではない。

イケメンの体に入った主人公は、元々自分が通っていた高校に転入し、自分を突き落とした犯人捜しを始める。
捜査を開始していくうちに、不審な行動をしたと思えるクラスメイトがいたり、担任の教師の動きもおかしくみえたり。
あげくには本当の母親までも疑わしくなってくる。
そんな主人公が辿り着いた真相とは。
と書いていると、なんか嫌な結末になりそうだが、意外なことに爽やかなラストになってしまった。
ここは予想を裏切られた。

そして読み終えてみると、この作品はミステリーではなく、高校生の青春もの、成長ものなんだなと理解した。
不細工なオタクがイケメンの体に入ることで体験するリア充な生活。
クラスメイト達はイケメンということだけで無条件に親しく声をかけてきて、女子の視線も向けられる。
元の体の時は話しかけることもしなかった相手と話したりしているうちに、考え方も変わってくる。
行動も大胆になってくる。

気持ち一つで、見方を変えるだけでこんなにも世界は変わってくるのだと気が付く少年。
そうして得たものがラストにつながる。
そう、不細工だから、オタクだからと、壁を作っているのは他人ではなく自分なのだ。
気付かされたのはそこで、ちょっと行動を変えれば世界は変わる。
事件を通して、一つ成長した主人公は微笑ましく思えた。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ミステリー部分や展開はお粗末というか、なんというか。
入れ替わった主人公が、全く入れ替わり先であるイケメンのふりをしようとせず、元の自分の行動をするのがおかしすぎる。
両親や恋人、友人に対して何のためらいもなく昔ん自分の部分を曝け出すって、「記憶がない」ということにしているにしてもなあ。
犯人捜しの行動も不自然すぎるし、その犯人と真相はいきなりファンタジーになるし。
ラストは爽やかに良い感じで終わったが、途中は色々と主人公の行動に違和感を覚えストレスを感じた。

 

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