【作品情報】
作品名:渋谷隔絶 東京クロノス
著者:小山 恭平
ページ数:320
ジャンル:エンタメ
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
登場人物のゲス度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : デスゲームもの好き
ある日突然、渋谷の異空間に隔離された政治一族・神谷家。
そこは投票で選出された人を殺す、残酷な“剪定選挙”が支配する空間。
不要だと思う人に投票し、最多票を獲得した人が殺されていく。
神谷才は使用人の少女、咲恵を守るため、このデスゲームに参加することを決意する。
生き残るためにはどうすれば良いのか。
誰を味方にして、どのようにして票を集めれば良いのか。
そしてデスゲームの先にある真実は。
VRゲーム『東京クロノス』の前日譚として描かれたノベルということですが、ゲーム未プレイでも問題ありません。
実際、私も未プレイです。
物語は、主人公の神谷才を含む神谷家に関わる人間たちが隔絶した渋谷世界に閉じ込められたことから始まる。
その閉鎖空間で行われるのは、殺す人を決める“剪定選挙”
他の人を殺し、勝ち残っていかなければ生き残れない、いわゆるデスゲームもの。
選挙で決める、というのはどこか他でも聞いたことがあるような?
あ、『レイジングループ』とかか。
こういう投票で選ぶときは、いかにその人を選んで罪悪感が少ないか、ということだろう。
老い先の短い老人 重篤な病気を患っている人 生きていても役に立ちそうにない人 自分はそういう人間ではないということを証明すると同時に、あの人に投票しても心は痛まない、仕方ないと他の人を誘導していく力。
いや、そんな力、とは思うものの、こういう状況に陥ったら多くの人は同じような選択をすると思います。 赤信号を皆で渡れば、というやつですね。
同意する人が多ければ多いほど、罪悪感は薄れますから。
そういうデスゲームをスピーディに展開させていく。
その中で描かれるのは、主人公、才の考え方の変化というか、成長だろうか。
10歳の少年が、過酷な状況に放り込まれて成長せざるをえなくなる。
何かを得るために、何かを捨てる。
その決断の物語だったのだろう。
講談社タイガというレーベルで、筆致も読みやすい感じではあるが、中身は思った以上にダークで痛い描写もある。
それでも、読んでいけば引き込まれるものがあるのは確か。
デスゲームは登場人物のキャラが立ってこそ、それぞれの立場からの行動、発言、そういったものが際立ち面白いのだが、本作はその辺が弱いかなぁ。
主人公が10歳ってのも無理があるよなぁ、小説とはいえ。
あとラスト。
結局、どうなるん?