【作品情報】
作品名:優しい水
著者:日明 恩
ページ数:403ページ
ジャンル:ミステリー
出版社:徳間書店
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
救われない度 : ★★★★★★★★★★
こういう人におススメ! : 物静かに怖い話が好き
両親の離婚を機に田舎に引っ越してきた少年、石塚洋。
洋は近くの川に捨てられていた熱帯魚を助けようとするが、その甲斐もなく魚たちは死んでしまう。だが、魚たちが死んだ後のバケツの中には何やら謎の物体? がいて。
その謎の微生物らしきものの観察を続け、やがて洋はその水を喧しく吠えたてる近所の犬や、クラスの仲良くない友人に飲ませる。
それが、どんな結末をもたらすかも知らずに・・・・
いやー、なんといえばよいのでしょう。
日明 恩さんといえば、「武本&潮崎シリーズ」や「Fire's Out」のシリーズでおなじみ。シリーズ以外でも人情味のある温かな作品を書いており、そのイメージとタイトルからその系統の作品だと思って手に取った。
そしたら!
もう完全に裏切られましたね、内容的に!
いやいや、どこか「優しい」水なのよ!? と。
その作者さんならではの作品ならではというのがありますが、本作は見事にそれを裏切ってくれますので、もしかしたら作者さんの思った通りなのでしょうか。
物語は少年だけでなく、「水」を巡る様々な人の視点で描かれて進行していくわけですが、獣医や環境研究センター職員といった立場の人達が動き、少しずつ謎の核心へと迫っていく進め方は読み応えあるし読ませてくれる。
この先はどうなるんだろう、そういう不安でもあるし、どう解決にもっていくのだろうかという期待でもある。
あと、やっぱり一番怖いのは「女」なんだなと思わせられる。
幾つかの意味で「ホラー」として優れている作品。
いやいや、本当に怖いですから!
エピローグがほしかった!
何か未来に向けたものが欲しかった。
そして、「あの女」がどうにかならないかと思った。
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