【作品情報】
作品名：誰が勇者を殺したか 勇者の章
著者：駄犬
ページ数：２６４
ジャンル：ファンタジー、ミステリ―
出版社：KADOKAWA
おススメ度 ： ★★★★★★★★☆☆
勇者の孤独度 ： ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ！ ： シリーズが好きな人
魔王討伐から数年後、王国で開催されている慰霊祭で亡くなった者たちに祈りを捧げる勇者たち。
王都が祭りの喧騒に包まれる中、勇者はかつて旅の始まりで出会ったリュドニア国の姫と再会を果たす。
少し緊張した面持ちで言葉をかける彼に、姫は冷たく重い声で「リュドニアの勇者を殺したのはあなたですか」と糾弾する。
かの勇者が姫の兄であり王子だったことを思い出した彼は、心にかすかな痛みを覚えながら「王子を殺したのは魔物シェイプシフター。あなたもご存じのはず」と伝えるのだが……。
これは旅の始まりで出会った、もうひとりの勇者と姫の物語。
シリーズ３作目。
今回問われるのは、「勇者とは」
勇者一行の冒険の最初期。
まだパーティーでの連携もうまくとれず、それぞれの信頼関係も築けていないような時期。
一行はリュドニア国で一冒険者として経験を積むことに。
そのリュドニア国で出会った、リュドニアの勇者。
彼の姿を見て、話をして、勇者とはどういう存在なのかというのを肌で少しずつ感じ取っていくのだが。。
リュドニアの勇者はなぜ死んだのか？
誰が殺したのか？
それを通して、勇者が抱える問題を問う。
これはシリーズ一作目でも少し触れていたけれど。
勇者なんて良いものではない。
周囲からは常に期待の目で見られ、その期待に応えるような立ち振る舞いを求められる。
勇者の気持ちなどそれは後のモノ。
時代が勇者を求めており、勇者でいなけれいけない。
そのプレッシャーに耐えられるものだけが勇者たり得るのである。
まあ、そうですよね。
誰が好き好んで魔王のいる死地に行きたいと思うものか。
だけど周囲が、勇者が逃げることを許さない。
勝手に持ち上げ、駄目だったら勝手に失望される。
勇者を殺すのは魔物でも魔王でもなく、民衆の無垢なる期待なのかもしれませんね。
やっぱ読ませてくれますよね。
次はどのような視点で描かれるのか楽しみです。
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