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エンタメ 書評

【ブックレビュー】7年(著:こがらし 輪音)

更新日:

【作品情報】
 作品名:7年
 著者:こがらし 輪音
 ページ数:288
 ジャンル:エンタメ
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 自分の行動を振り返ってみる度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : タイムリープものが好き

■作品について

2020年10月、新型コロナウイルスが蔓延し世界が混迷を深める中、上司や部下にも見放され、家庭も崩壊――。
何もかもうまくいかず、ついに急性肝炎で入院してしまった五百旗頭(いおきべ)照夫は急激な立ちくらみに襲われ、目覚めるとなぜか7年前の世界に戻っていた。
やがて、1日を経るごとに7年前にタイムリープすることに気づいた照夫は、自身が起こしてきた過去と向き合っていく……。
自分はどこで間違ってしまったか?
自分自身と向き合う一作。

■良かった点

いわゆるタイムリープものとなる。
主人公の五百旗頭(いおきべ)照夫は会社では典型的なパワハラ上司で、上の人間に対しては顔色を窺い、部下に対しては怒鳴り散らすような男。
妻と長女、長男がいるものの仲はうまくいっておらず、妻は浮気、長男は引きこもりという家庭崩壊状態。
そんな時に発生したタイムリープによって7年前に戻ってしまう。

通常タイムリープものといえば、悲惨な結末を迎える未来を変えるため過去に戻ってやり直すというのが常套である。
しかし本作で面白いのは、7年前に戻っても過ごすことが出来るのは一日だけで、一日を終えるとまたさらに7年前に戻ってしまう。
過去で行動を変えて、ではその結果として未来はどうなる? という「答え合わせ」がないまま、また過去に戻ってしまうという。
失敗したからまたやり直し、ということではなく結果も見ないままどんどん遡っていくという。

そうして読んでいってわかるのは、タイムリープしつつも未来を変えるための物語ではなく、過去の自分に立ち返り、自分がどんな行動をしていたかを振り返り、自分の何が悪かったのか、どうすれば良かったのだろうかと考えて行動する、自分自身と向かい合うためのタイムリープの物語なのだということ。
たった一日、されど一日もあるとも考えられる。
物語の冒頭ではろくでもない男だったが、無為に過ごすのではなくその一日だからこそできることを模索して自分自身を変えようとする主人公は、やはり応援したくなってくるものがある。

あの時、もしも違う行動を選択していれば。
通り過ぎた時にそういう風に思うことはあるけれど、それは一つの選択をしてその結果が出たからこそ思うこと。
若い頃は知識も経験もなく、自分自身の思い込みや頑なさもあって選択したことも、歳を取ってみればそれは違うだろと思ったりも。
実際には過去には戻れないけれど、考え方や行動を変えることは今からでもできる。
そしてちょっと変えるだけで、もしかしたらよい方向に動くかもしれない。
そんな風にも思えてくる。

軽い文体で一気に読み進められるので、読書に慣れていない人でもすんなりと読むことが出来る一冊。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

タイムリープものといいつつ結末は・・・まあ、それはそれか。
あとは、ウィズコロナだからこそ生まれた、なんてあるけれど、別にそんなことなくない? と思いましたが。

 

 

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