【作品情報】
作品名:なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?
著者:アガサ・クリスティー
ページ数:463
ジャンル:ミステリ―
出版社:早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
タイトルが良いよね度 : ★★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 良質なミステリーを読みたい人
牧師の息子ボビイはゴルフの最中に、崖下に転落した瀕死の男を発見する。
男はわずかに意識を取り戻すと、彼に一言だけ告げて息を引き取った。
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
幼馴染みのお転婆娘フランキーと共に謎の言葉の意味を追うボビイ。
若い男女のユーモアあふれる縦横無尽の大活劇。
クリスティー作品は名作が数多くある。
多くの作品ではエルキュール・ポワロかミス・マープルが探偵役として活躍する。
本作は、そんな名探偵二人が登場しないクリスティー作品の中でも評価の高い一作。
そして読んでみると、その評価も納得の出来となっている。
主人公は牧師の息子ボビイと、その幼馴染の娘フランキー。
ボビイはある日、崖に転落して瀕死の男を発見、その男は、
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
とだけ言って息を引き取った。
ここから始まるミステリー。
男は誰かに突き落とされて死んだのではないか?
男が残した最後の言葉の意味は何か?
そうして事件に巻き込まれ、危うく殺されかけもして、否応なしに犯人探しに打って出る。
助けてくれるのは、活発でその行動力は男勝りなフランキー。
フランキーは犯人と疑う人の家に潜入して情報を仕入れようとしたり、色々と作戦をたててとにかく行動力が凄まじい。
ボビイは当初、フランキーに引っ張られるだけの男かと思いきや、途中からボビイも男を見せ始める。
怪しげな人物たちがどんどん出てくる中、誰が何のためにどのように行動しているのか絡まり合ってくる。
終盤の二転三転していくスピード感のある展開は一気に読ませてくれる。
この辺はさすがの上手さのクリスティー。
単なるミステリーというわけではなく、ボビイとフランキーの冒険譚ともいえるかもしれない。
ユーモアあふれるやり取りも軽妙で、謎も気になり、これは面白い一作。
ポワロやマープルの縛りがない分、逆に色々と出来たのかもしれませんね。
特にないけれど。
やっぱり人名というか、人の名前と関係性を覚えるのはなかなかに大変だったり。
ま、本作に限りませんけれどね。