【作品情報】
作品名:探偵AIのリアル・ディープラーニング
著者:早坂吝
ページ数:364
ジャンル:ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
AI相以が可愛い度 : ★★★★★★☆☆☆☆
こういう人におススメ! : 探偵の設定が面白いミステリーを読んでみたい
人工知能の研究者だった父親が、密室の研究室内で謎の死を遂げた。
事故ではなく殺人ではないか?
高校生の一人息子、輔は研究室に残されていたデータから人工知能の探偵・相以とともに父を殺害した犯人を捜す。
AI探偵と高校生の助手。
父親の事件を追ううちに、AIを悪用するテロリスト集団「オクタコア」の陰謀に辿り着く。
果たして人口知能の探偵は、人が犯した犯罪を解き明かすことができるのか?
人工知能が発達し、色々な分野で活用されるようになっています。
この作品が描くように、やがては殺人事件の捜査、推理といったことも人工知能が担うようになり、AI探偵も現実になったりするのでしょうか?
それがいつのことになるかは分かりませんが、本作では人口知能を探偵として、事件を解き明かそうとしていきます。
その中で、人工知能が抱える問題についても描いています。
- フレーム問題
- シンボルクラウンディング問題
- 不気味の谷
といったもの。
それぞれ、簡潔に分かりやすく説明されているので、人工知能に関して特に知識がなくても問題ありません。
そして、それらの問題を謎解きというか事件にも絡ませているのはなかなかうまい手法かもしれない。
- こういう問題があるから、こういう前提を与えることで推理させる。
- こういう問題があるから、こんな事件になった。
という感じで、ミステリーに当てはめてきているわけである。
実際、AIらしいというか、人間ならまずしないだろうという推理を繰り広げたりもして、そういうところはさもありなんという感じを受けた。
確かにそういう考えもできるかもしれないけれど、普通の人はそんなことしないよ、みたいな。
AIは、可能性のあることなら考えてしまう、そういうことなのでしょう。
でも、それすらも学んで克服していけば、AIは人間を超える程賢くなるのでしょうか。。。
またもう一つ面白いのは、探偵役のAIだけでなく、犯人役のAIも存在して、お互いに学習していくことで高め合っていくということ。
犯人役が想定事件を起こし、探偵役がその謎を解く。
その繰り返しでレベルをあげていく。
実際にそううまくいくのかは分からないけれど。
まあ、この犯罪者側のAIも、AIならではの思考をしてしまったりするのですが。
読みやすく、難しくなく、本を苦手な人とかでも手に取りやすいかも?
アイディアとしてはなかなか面白いと思うけれど、まさにAIならではのミステリーだ!
という感じは受けないかな。
物語自体がラノベテイストなので、ラノベの世界よねー、みたいに受け止めてしまうかも。