【作品情報】
作品名:伯爵と三つの棺
著者:潮谷験
ページ数:304
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
味わい深い度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 歴史を楽しみつつミステリーを楽しみたい人
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。
五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。
三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?
フランス革命の時代。
とある架空の小国を舞台に発生した事件を描く。
被害者は元・吟遊詩人の男。
容疑者は、事件の起きた「四つ首城」の三兄弟。
容姿の似通った三人であり、目撃者はあれど誰が犯人だったのかは特定できない状況。
この時代はまだ科学捜査も行われてない時代であり、そんな状況下で犯人は特定できるのか。
また、犯行の動機は何なのか?
時代と舞台をうまいこと使った事件、物語に仕上げている。
単に昔の時代にしただけではなく、フランス革命というのが背景にあることもきちんと意味がある。
そこに、登場人物たちの行動の理由であったり、思惑であったりというのもがつながっていく。
ミステリーとしては色々と思わせぶりなことを見せていき、ラストにきっちり落とし込んでくる王道のつくり。
だけどミステリーとしてというよりも、歴史的なところとからみあわせたところにこそ本作の良さがあるような気がする。
こういう、過去の特定の時代を舞台としているということは、その時代のその国でなければいけなかった理由が物語にある。
逆に言えば、それだけの理由がなければ特定の時代を舞台に描くことに意味がない。
本作はそこをきっちり出来ているのが凄い。
三兄弟がなぜ、城を欲したのか。
なぜ、殺したのか。
彼らの胸の内を知ると、「なぜ、そこまで」と思うと同時に「そうせざるをえなかったのか」とも思わせてくれる。
これはよかった。
いや、本作はいい意味で予想を裏切ってくれた良作でしたよ。
本当に。
