【作品情報】
作品名:最後の祈り
著者:薬丸岳
ページ数:416
ジャンル:ミステリ―、エンタメ
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
人により考えが色々異なりそう度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 重いテーマの話をじっくり読みたい
殺人犯と、娘を殺された父。 死刑執行を前に、 命懸けの対話が始まる。
娘を殺した男がすぐ目の前にいる。贖罪や反省の思いなど微塵も窺えないふてぶてしい態度で。
東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。
妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。
牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。
今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。
煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。
死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。
死刑囚をめぐる話。
重いですね。
主人公は牧師。
牧師としての仕事の一つとして、刑務所で教誨師をしている。
教誨をしている中で、他の人が許さなくても神様は罪を許してくれると説き、受刑者たちの精神的救済を行っていた。
しかしある日、自分の娘が暴漢に殺された。
その復讐をするため、その男がいる刑務所の教誨師となるが、自分の娘を殺した相手に対して罪をゆるすなどと言うことができるのか。
その犯人だけでなく、他の死刑囚たちとも接していくうちに、主人公の心もどんどんと蝕まれていくというか、疲弊していく。
死刑囚を相手にするというのはそれほどのこと。
自分が教誨をしていた相手が、ある日突然、死刑を執行されたりする。
しかもその相手に対し、最後の祈りをささげる役割も持つ。
多くの死刑囚は、どれだけ極悪人なのかと思って接してみればごく普通の人間にしか思えなかったり。
だからこそ、接する時間が長くなればなるほど苦しくなるのでしょうね。
牧師の主人公だけでなく、刑務所の看守の立場での見方とか、そういうものもあります。
いや、確かに、死刑囚と接するのは苦しいでしょうね。
特に死刑執行の立ち合いをしちゃった日には・・・
最後に主人公がどのような決断をするのか。
正解はないのでしょうが、色々と心を揺さぶられますね。
真里亜がね。
感情的に色々と言うだけで自分では何もしない。
考えてみれば、真里亜がいなければこんな事件も起きなかったかもしれんのだよね。