【作品情報】
作品名:名探偵に甘美なる死を
著者:方丈 貴恵
ページ数:406
ジャンル:ミステリー
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
特殊設定による複雑度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 特殊設定ミステリーが好き
館に集うは『素人探偵』8名
VR空間と現実世界で繰り返される殺人・・・・・・
生死を賭けたゲームの行方は?
ちりばめられた伏線、密室の謎、二つの読者への挑戦。
『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に続く〈竜泉家の一族〉シリーズ最新作は王道の“館”ミステリ。
「竜泉家の一族」シリーズの3作目です。
前2作に続いて、今回も特殊設定ミステリーとなります。
今回は、現実世界と同じ力学が再現されているVR空間が作られたという前提をもとにして、VR空間と現実世界の双方を入り乱れての殺人が行われます。
とあるVRゲームのモニターとして集められたのは、素人探偵達。
VR空間で行われる殺人の犯人とトリックを推理して正解しないと、現実世界で殺されてしまうという、探偵たちのデスゲーム。
外部から閉ざされた館、VR空間の特殊設定。
そこにデスゲームのルールを追加しての非常に練り込まれたトリックが繰り広げられていきます。
なんというか、浮かぶ感想は、アクロバティック。
とでもいえばよいでしょうか。
VR空間での殺人は当然ながら現実世界の死につながるわけではありません。
だけど、このVR空間での行動こそが、現実世界での殺人トリックにつながっていくというのがなんとも。
よくもまあ、毎回毎回このような特殊設定を考え、さらにその設定のもとでこそのトリックを考えるものです。
そして挑むのは、前2作に登場した加茂と祐樹。
そこに追加して、一癖も二癖もある素人探偵達。
また単に殺人を解決していくだけではなく、そもそもなぜこのようなデスゲームが行われているのか。
その辺の事件の裏に向けた推理なんかも同時並行で進んでいたりして。
とにかく盛りだくさんのシリーズ第三作目でした。
トリックについては、「はあー、なるほどー」と、本当にその特殊設定をよく考えないと辿り着きません。
まあ、私の場合は最初から放棄していましたが(汗)
特殊設定ゆえの複雑さがあります。
そのルールが最初は覚えられず、読み返したりも。
いや、そういう意味でも大変(苦笑)