【作品情報】
作品名:アジャイルでやってみた ウォーターフォールしか知らなかった僕らSIerのスクラム日記
著者:竹林崇,亀川和史,清水頼行,串田悠彰,石神政典,中村薫
ページ数:451ページ
ジャンル:実用書
出版社:秀和システム
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
スクラムに関して分かりやすい度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : アジャイル、スクラムをなんとなく知ってみたい
タイトル通りといえばタイトル通りである。
初めてスクラム開発に挑むというSE達の活動、開発に関して書かれている。
マイクロソフトのDevOpsエバンジェリストである牛尾剛さんが本書をレビューしているとのこと。
牛尾さんに関しては前に講演を聞いたことがあるのですが、非情にパワフルでエネルギーを持っている人で、周囲を巻き込む力があるのが凄いと思った。
この人が関与しているのならば内容的に間違っていることはないはず!
本書の構成は以下のようになっている。
プロローグ アジャイルやるってホントですか?
第一章 アジャイル概要
第二章 アジャイル現場あるある(プロセスの改善)
第三章 アジャイル現場あるある(ツールによる改善)
第四章 OSSからVSTSへの移行
第五章 さまざまな課題を克服せよ
エピローグ アジャイルのあとに得たもの
appendix
本書の特徴は、殆どが会話形式で構成されていることだろう。
要は、開発メンバーたちの会話によって、アジャイルとは何かから、問題の発生、解決、そういったことを説明している。
ゆえに分かりやすいと同時に、会話での構成に慣れていないと、「なんじゃこりゃ?」となる可能性もある。
ただ、機械的な文章の説明よりは、人間臭さのある会話の方が、現場に近く頷ける部分があるのも確か。
第一章では、アジャイル開発とは何か? スクラムの価値とは、スクラムの構成とは(プロダクトオーナーやスクラムマスターといった役割、スプリントやデイリースクラムといったイベント、プロダクトバックログなどの作成物)について説明。
第二章では実際にチームを結成し、スプリントを回してやってみて、というところ。
初めてスクラムで進めることにより直面する問題(順調にいかないスプリント、消化できないストーリー)と、それに対する解消に向けた動き。
第三章ではバージョン管理での問題やバグ発生にともない、使用しているツールにより発生する課題についてとりあげ、第四章で実際にVSTSというツールを導入する。
そした第五章では並行開発での管理や、稼働状況の監視、ステークホルダーと情報共有するためのデータ分析、テストの効率化、などといったことに対してなど、非機能に関する課題を主として取り扱っている。
総じて感じるのは、本書内の開発チームも初めてアジャイル開発に取り組むため、手探りで模索しながら進めている。
即ち、初めてアジャイル、スクラムをやろうという人たちが直面するであろう課題(あるある)が多く、同じような状況にある人には親身に感じる内容になっている。
そしてそれらが会話形式でストーリー仕立てなので、実際に体験しているように感じやすい。
本を読み慣れていなくても入りやすく、それでいてアジャイルをなんとなく理解できる。
これが本書のもっとも良い点だろう。
残念なのは、VSTSというツールを導入することを前提に書かれていることか。
本書の半分くらいも、appendixとしてVSTSについて書かれているので、VSTSを導入する予定ならばなお良いのだろう。
読みやすくサクサク進めるというところ、内容としても初めてアジャイル開発に挑戦する奮闘を描いているという所からも、なんとなくアジャイル開発、スクラムについて知識を得たいという人にとっては良いと思う。
こういうものなのね、と掴むには。
逆に、ガッツリ身に付けたいぜ! という人には向かないかな。
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アジャイルでやってみた。 ウォーターフォールしか知らなかった僕らSIerのス [ TFSUG ] 価格:3,024円 |