【作品情報】
作品名:アルファベット荘事件
著者:北山 猛邦
ページ数:260
ジャンル:ミステリー
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
本格っぽい雰囲気度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ライトに本格ミステリを味わいたい
雪が舞う岩手県の山奥、アルファベットのオブジェが散らばる『アルファベット荘』に招かれた個性的な面々。
だが招待者は現れないまま、夜は更けていく。
翌朝、「創生の箱」の中で招待客が屍体となって発見される。
しかし死体を運ぶために通ったはずの中庭には足跡は無くて……?
売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす。
北山さんの初期の幻の作品を新たに出版した作品とのこと。
出版にあたってはリメイクすることはせず、基本的には殆ど初期のままの内容、ということらしい。
なので読むと、少し古い感じというかがする気はする、かもしれない。
物語としては典型的なクローズド・サークル。
冬の山奥の山荘に招かれた人々。
「アルファベット荘」と呼ばれるその屋敷には文字通り、アルファベットのオブジェが設置されている。
雪によって閉ざされた山荘。
さらに「創生の箱」という曰くつきのモノがある中で、招待客の一人が「創生の箱」の中から死体で見つかった。
まさに本格、という展開。
トリックに関してはまあ、なんとなく想像がつくといえばつく。
非情にわかりやすく明示されていますからね。
その辺が、北山さんの初期っぽいところかも?
大がかりな物理トリックと、どこか幻想的な雰囲気。
変な登場人物たち。 それは探偵役も含めてだけど。
そういう本格を、ライトなタッチで楽しめる作品、とでもいえばよいでしょうか。
まあ、北山さんもあえて改善しなかったのでしょうし。
ツッコミたいところもあえてつっこまないでおくのがよいでしょう。