【作品情報】
作品名:AX
著者:伊坂幸太郎
ページ数:312
ジャンル:エンタメ
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
恐妻家に共感度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : 軽妙でいてちょっとホロリとくる作品が好き
価格:1,650円 |
殺し屋「兜」は一流の腕を持つが、それでも絶対に敵わない相手がいる。
それは、「妻」であった。
恐妻家で、家でも常に妻の言動を気にしてオーバーとも思える反応ばかりで、息子の克己もあきれるほど。
そんな兜も、もう殺し屋の仕事をやめたいと思うのだが、なかなかうまくいかず。
恐妻家の殺し屋、兜の生活を追った、殺し屋シリーズ第3弾。
伊坂氏の殺し屋シリーズ第3弾。
兜は凄腕の殺し屋なんだけど、実は普通に結婚して子供もいてと家庭を築いている。
表向きは普通に会社に勤めていて営業もしている。
家では妻に頭が上がらない恐妻家。
まず、そんな設定でそもそも勝利している。
そして殺し屋シリーズでありながら、実は殺し自体はメインではない。
この話の中核をなしているのは家族である。
妻とのこと、息子とのこと。
それは兜だけではなく、登場してくる他のキャラクター達も同様で、ちょっとした日常や、殺し屋仕事の非日常の中で、家族との絆を考えさせてくれる。
重い感じではなく、あくまで軽い文体で、でも何が大事なのかといったことを考えるのは伊坂氏らしい。
とにかく本当に凄腕なのか?
と疑ってしまいたくなる、家庭における妻への態度や、臆病とも思えるほどの行動。
そのユーモラスなギャップは読んでいてなんだかほっこりしてしまう。
だけど殺し屋稼業、平和なままで終わるわけがない。
最後の方はちょっと切なくもなる。
妻の気分や機嫌を気にした兜の考え方や言動は、思わず頷いてしまう男性諸氏は多いはず。
前作のキャラの話とかちょいちょい出てくるので読んでいるとより楽しめるけれど、読んでいなくても全く問題はない。
素直におすすめできる一冊。
難しいとは思いつつ、幸せに終わって欲しかったとも思う。
妻と、息子とその嫁と。
幸せな未来があったのかなぁと想像する。