【作品情報】
作品名:バベル九朔
著者:万城目 学
ページ数:430ページ
ジャンル:エンタメ
出版社:角川書店
おススメ度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
不条理感 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : つかみどころのない物語が好きな人
主人公は、雑居ビル「バベル九朔」の管理人である九朔満大。会社を辞め、親類の経営する雑居ビルの管理人に半ば強引になると、管理人をする傍らで小説家デビューを目指して執筆活動をしている。
だらりとした日常、作家を目指すも見込みがあるかも分からずただ悪戯に月日だけが流れてゆくかに思われていたが、ある日謎のカラス女が登場することで一変する。
満大が迷い込んだ異世界では、5階建てのはずの雑居ビルが点を貫くような、それこそ「バベルの塔」の趣に変貌。ビルを上っていくと途中に現れるのは、かつてビルに入っては撤去していったテナント達。
カラス女、異世界に閉じ込められた少女、そして遥か昔に亡くなったはずの祖父の影。
バベルの世界が求めているのは何なのか。
満大が彷徨いこんだのはなぜなのか。何の役割を求められているのか?
とにもかくにも、どうなるのか先の展開が読めません。読みようがないとも言うのかもしれませんが。
ビルの管理人として立ち働く日常が、徐々に非日常に侵食されてゆく。この流れはある種王道であり、序盤はそれが上手く描かれていた。
ビルに入っている流行らない探偵事務所の冴えない探偵、謎の美女の登場、感じ始める異変、そこからの突然の世界の崩壊(即ち異世界に入り込んでしまう過程)と、それらは上手く見せられていた。
謎の世界「バベル」で少女と出会い、果たしてこの世界で何が起きるのか、少女は何者なのか、ワクワク感を抱かせてくれる展開であった。
バベルの世界での動きが小さいというか、世界そのものが小さくてドラスティックな展開にならなかった。閉じられた世界ではあるのだが、それでも登場人物も限られていたためかこじんまりとしてしまった感は否めない。
文体は読みやすく読み進められるのですが、「コレ!」といったものを感じられずに作品が終了してしまった。
嫌いではないけれど、隙とも言えない。そんな微妙な感じでした。
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