【作品情報】
作品名:後宮の烏 7
著者:白川 紺子
ページ数:224
ジャンル:ファンタジー
出版社:集英社
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
終わり方の満足度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
こういう人におススメ! : 切なく優しいファンタジーが好き
寿雪は千里と之季の安否を知るため、そして烏の半身をさがすため、界島へと向かっていた。
しかし寿雪一行が界島の対岸の港まで到着すると、海底火山の噴火が続いていて島へは渡れなくなっていた。
噴火している海域は楽宮の海神の縄張りが複雑に入り組んでおり、海が荒れていたのも噴火も、烏の半身や鼇の神が海神を刺激したせいだった。
そこで寿雪たちが出会ったのは、花娘の父である海商・知徳だった。
花娘からの文で寿雪について知っていた知徳は、噴火さえ収まれば舟と水手を貸すと約束してくれた。
はたして寿雪は、解き放たれるのか。
中華幻想ファンタジーの完結編!
中華幻想ファンタジーもいよいよこの7巻で完結です。
自由になるため、烏の半身を取り戻すことを決意した寿雪。
界島へ向かうも、海底火山の噴火で足止めをくらい・・・てなところなのですが。
全般的に、寿雪は何もしていないんだよなぁ。
物語の序盤は、寿雪の能力で人々の悩みとかを解決してあげていたけれど、ここに至ると烏の半身や鼇の神の対決であって寿雪の出番がなくなってしまった。
なので、とりあえず現地に向かって、あとは流れのままに、という感じになってしまい。
それ故にか、物語も結構すんなりと終わってしまった。
寿雪は自由になり、後宮には戻らず、世界に出る。
そして最後、老いて退位した高峻と、同じように老いた寿雪は時に碁をうちあう。
綺麗な終わり方であり、それまで何があったのかは読者の想像にまかせる作りなのだが。
読み手としては、勿体ないと感じてしまう。
少女小説なら、きっと高峻と寿雪が共に暮らしたりするような、そこまでいかなくてももうちょっと近づいた展開もあったのかと思うけれど。
無事に完結したのはめでたいとして、色々とキャラクターがもったいない。
シリーズ最初が良かっただけに!
うーん、ラストがこれとはあっさりしすぎの感もある。
せっかく魅力的な脇役たちも色々といるのに、彼らがどうなったとか、そういったことも描かれずに終了。
九九も、なんのためにこの巻に存在したのかわからず・・・
逆に、沙那賣家についてはやたらと書き込んでいて・・・いや、読者の多くが知りたいのはそっちじゃなくて、寿雪や高峻、九九や衛青、温螢や淡海といった、寿雪と寿雪を支えた人たちのことでしょうよ! と。
もったいないなぁ。