【作品情報】
作品名:もういちどベートーヴェン
著者:中山七里
ページ数:306
ジャンル:ミステリー
出版社:宝島社
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
演奏シーンの圧巻度度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 岬洋介ファン。音楽シーン描写に興味ある人
前作、「どこかでベートーヴェン」の続きとなる作品であり、岬洋介のシリーズでもある。
ピアニストの道を挫折した岬。
彼が目指したのは法曹界。
司法試験をトップの成績で合格し、司法研修性となった時代の話。
司法への道、音楽への道。
悩む岬の選択とは?
前作では岬の高校生時代を描き、ピアニストへの道を挫折した姿が描かれていた。
その作品で既に続きが描かれることは分かっており、いよいよ出て来たのが本作である。
天は二物を与えずというが、司法試験をトップで合格し、ピアノの才能もあり、ルックスも良い。
どんだけ持っているんだと他人ならねたみたくなるのも当然のスペック。
司法修習生の同期から当然のように嫉妬、羨望、そんな対象になるはずだが、浮世離れした性格もあってか意外とうまくやっていく。
というか世話焼きさんがいるわけだが。
この作品で描きたいのは、いかにして岬が音楽の世界、ピアノの世界に戻ってきたのか、だろう。
司法の世界に足を踏み入れながら、どこか入り込み切れていない。
そんな実習生の生活の中で、偶然が岬の心の奥底に眠っていたものを呼び覚ます。
作品内では殺人事件と、その犯人推理についても描かれてい入るものの、本作においてはおまけのように感じた。
読み終えて圧倒的に残っているのは演奏シーンである。
シリーズはいずれも演奏シーンが強烈なのだが、本作は今まで以上に感じられた。
それは、岬のピアノに対する思い。
失意の底から再びピアノに戻る、その鬼気迫る思いがこれでもかとぶつけられているからだろう。
音楽に詳しくない自分でもそう感じるのだから、音楽関係者がどう感じるかを聞いてみたい。
そしてまた予告される続編。
楽しみに待つしかないぞ。
改善ではありません。
ミステリーを期待して読む作品ではないかなと。
もちろん、ミステリー部分もちゃんと考えて描かかれてはいますけど。
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