【作品情報】
作品名:カインの傲慢
著者:中山七里
ページ数:304
ジャンル:ミステリー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
社会の闇が垣間見える度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 社会はミステリー好き
練馬区の公園で、少年の死体が発見された。
調査の結果、少年は中国人だと判明。
しかも死体からは臓器が持ち去られていた。
捜査一課の犬養隼人は、後輩の高千穂明日香と共に捜査に乗り出す。
少年の生家は最貧層の家庭だった。
日中の養子縁組を仲介する不審な団体の存在も明らかに…。
その後も都内では相次いで第2、第3の死体が見つかり、やはり被害者たちは貧困家庭の少年。
医療と社会の闇にも迫った警察ミステリ。
犬養刑事シリーズです。
今回テーマにあげるのは、貧困と臓器売買。
ある日見つかった初年の遺体、その遺体からは臓器が抜き取られていた。
調査していくと判明するのは、被害者の少年が貧困家庭だということ。
そうこうしているうちに第二、第三の被害者も出てきて、また同じように臓器が抜き取られている。
貧困から抜け出すために出来ることとして、臓器の売買をする。
そこまでしなければならない家庭。
一方で、臓器を必要としている人も確かにいるわけで、国によっては日本よりもっと臓器移植が盛んであったりもする。
臓器を提供することで周囲の人が助かる、移植される人も嬉しい、医者も技術の向上が出来る。
良いことばかりではないか、何が悪いのか。
そう、正面からむかって言われた時にどうするのか。
病気の娘を持つ親としての犬養、法を守る刑事としての犬養。
突き付けられる事実は重い。
現実として許されることではないはずなのに、臓器移植で助かる命があると目の前にして、動揺せずにはいられないかもしれない。
でも、だからといって少年少女を犠牲にしてよいわけもない。
両方助かるならwin-winなのかもしれないけれど、納得できるものでもないですよね。。
犬養にはいつも厳しいことがつきつけられますね。
それでも止まることなく犯罪には噛みついていく犬養に期待したい。
色々と言われても、最後は毅然と言い返して欲しかった。
というのは、単なる希望。