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【ブックレビュー】夢は捨てたと言わないで(著:安藤祐介)

更新日:

【作品情報】
 作品名:夢は捨てたと言わないで
 著者:安藤 祐介
 ページ数:377
 ジャンル:エンタメ
 出版社:中央公論新社

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 登場人物への感情移入度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : 笑って泣ける作品に出会いたい

■作品について

かつてプロ野球選手になるも一軍出場すらかなわかった栄治。
今は野球から離れてスーパーの店員として新たな道を歩み始めている。

栄治が勤めているスーパー「エブリ」では、社長の一声でお笑い実業団が立ち上がることになり、栄治がその責任者に任命される。
夢と現実。
二つの間でもがきながらも、諦めること無く這い進む彼らの未来に見えるものとは?

夢を諦めない、大人の青春小説。

■良かった点

夢に破れた主人公。
そんな主人公・栄治が、「お笑い」という夢を諦めずに追いかけている売れないお笑い芸人達をまとめて、夢を追いかけていく。

売れている芸人さんなんてほんの一握り。
多くの芸人さんは、バイトをして生計を担っているなんてのはよく聞く話ですし、事実なんでしょう。
この物語でも、スーパー「エブリ」の吉祥寺店で4組の芸人達が働いている。
そんな芸人達に目を付けたのが、「うつけ」と呼ばれている社の四代目社長。
お笑い実業団を作り、お笑いでスーパーを盛り上げていこうという企画。
そんな企画室の室長に選ばれた栄治。
最初こそ嫌々やっていくものの、本気で夢を諦めずに追いかけている芸人たち共に苦闘するうちに、のめり込んでいくように。

当然、単純なものではなく。
社長の挙げた企画に良い顔をしない取締役専務の小田島は、むしろ失敗してくれた方が好都合と、失敗することを望む態度を見せる。
あからさまな敵役の嫌みったらしい感じで、栄治とともに読み手も反骨心を生じさせる。
こんな奴の思うようになって堪るかとも思うし、お笑い芸人達の夢を叶えさせたいとも思えてくる。

主人公の栄治自身、夢に挫折して諦めた男です。
また読者だって、多くの人は子供の頃に描いていた夢を諦め、現実を見て地に足を付けた生活をしていると思います。
だからこそ、物語の中では夢を諦めないで欲しいし、夢を掴んで欲しいと応援する。
読み手に感情移入させるというのがうまくいっている。
たとえ、お笑いという多くの人には現実味がない世界でも、厳しい世界だろうというのは想像がつきやすいし。

物語の作りとしては目新しいものではない。
むしろ、王道ともいえる作り。
だからこそ、多くの人に受け入れられるだろうし、楽しめる作品となっている。

もちろん、簡単に夢なんて掴めるものでもない。
物語でも、全員が全員、思う通りにいくわけではない。
それでも爽やかに、清々しく、気持ち良くラストまで走り抜けてくれる。
時に笑え、時にうるっとできる。

お笑いのネタも、作者自身もお笑いを実体験してM-1にも出場したということなので、その本気度が伝わってくる。
こういう本の中で、文字で漫才のネタを見せられてもなかなか笑いというのは伝わらず難しい。
芸人達の口調、アクセント、身振り手振り、間合い、そういった全てがあってこそのものだから。
それでも、中には読んでいて笑えるネタもある。
それは、ネタの中身を具体的に想像できるモノ。

個人的には「1T」で笑ってしまった。

お笑いって何のためにやっているのか。
誰のためにやっているのか。
おもろいは正義、とはどういうことか。

読んでいてなるほどとも思わせられる。
一気に読ませてくれるエンタメ作品でした!

 

■ここが改善できるともっとよかったかも?

面白かったですよ!
ただ最後、春山さんのアレ、え、ホント!?

 

 

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