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ミステリー 書評

【ブックレビュー】ダブルバインド(著:城山真一)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ダブルバインド
 著者:城山真一
 ページ数:3600
 ジャンル:ミステリー
 出版社:双葉社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 読み進めるスピード感度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : タフな警察小説を読みたい

■作品について

金沢東部署刑事課長の比留は公私ともにがんじがらめの大ピンチ。
妻を病気で亡くし、娘は高校を不登校。
強盗犯を取り逃がして人事で左遷も確定していたが、管内の駐在所員が撲殺される事件が発生。
その犯人は逃亡した強盗と同一犯だと比留は気づき、極秘捜査を開始。
不運だけど悪運の強いデビル刑事・比留が疾走する骨太の警察小説。

■良かった点

警察官が殺害される事件。
それが、他で動いている事件と絡み合い、誰が真犯人かを追いかけていく展開は、素直に読ませられる。
主人公の比留は、犯人を捜して逮捕することに熱意を注ぐ。
一方で警察という組織は保身を考え、とにかく事件を早期に解決することを目指す。
そのためには、強引なことも辞さない動きを見せる。
組織の動きと、自分自身の考えの間に挟まれる比留。
それでも真実を求めて動いていく。

警察ものといえば、縦社会、隠蔽体質、保身、内部の縄張り争い、なんてものがよく描かれる。
本作もその点では同じで、そんな組織の中で事件の真の解決のために動く主人公の姿というのは、分かっていてもやっぱり応援して読んじゃいますね。
更に比留は、家庭(娘)にも問題を抱えていて、事件と家族の間に挟まれるというのも、ある意味で常套手段。

比留一人で出来ることは限りがあるわけで、比留だけではなく比留の部下を含めたチームで、保身に走る組織ではなく自分たちで真犯人を挙げようという展開も良いですね。
同時多発で主人公に襲い掛かる問題。
それらを受け止めつつ、一つ一つなんとか解決を図ろうと行動していく。
そしてラストに向けて一気に畳みかける展開と、リーダビリティは高い。

こういう作品は熱量のあるうちに最後まで一気読みするのが吉ですね。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

一気読みさせるだけの面白さはあったけれど、かなり運の良さというか、ご都合主義的な部分もあった。
犯人の設定とかもね。
でもエンタメとしても読んでいたので、まあよしとしましょう。

 

 

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