書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(江利子×聖)】驚きと喜びと

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~ 驚きと喜びと ~

 

 

「なんでこんな日にアンタの凸を見てなきゃなんないのよ」
「バタ臭い顔を見せつけておいてその言い草はなに? お腹いっぱいになるからやめてちょうだいよ」
 どう考えても無駄で無意味で無生産で無価値な会話。
 クリスマスイブは昨日に終わったが、今日はまだクリスマス当日。街はまだ浮かれムード一色だというのに、なぜ私は江利子なんかと一緒にいるのだろうかと本気で首を傾げてしまう。
 江利子から電話があったのは午前中、まだ私がベッドで惰眠をむさぼっている時だった。無視しようかと思ったけれど、その方があとで面倒くさいことになると思ったし、そもそも江利子から電話が来るなんて珍し過ぎてついつい出てしまった。
「誕生日だっていうのにどうせ暇で寂しいでしょうから、せっかく誘ってあげたのに」
「そういう江利子の方こそ、クリスマスだってのに暇だったってことでしょう?」
「私は昨日、例年通り家族でのパーティよ。今日も本当は兄貴たちからデートに誘われていたんだけど、断ってやったわ」
「あらら、可哀想に。今日の為にずっと前から休み取っていたんじゃないの?」
「いいのよ別に、聖とデートだって言ったら何も言えないから」
「そうですか」
 肩をすくめながら髪をわしわしとかきまぜる。
 別に江利子に誘われたからって、実際、特に予定が無かったからといって応じる必要もなかったのだけど、まだ半分寝ぼけていた私はうかうかと誘いに乗ってしまったのだ。
「私だって別に、誘おうと思えば蓉子が」
「蓉子は今日、景さんとディズニーに行っているわよ」
「…………志摩子」
「志摩子は昨日から桂ちゃんとパジャマパーティ」
「…………」
「祥子はお父様の会社のパーティに顔を出さないといけないんだって、大変よね。令と由乃ちゃんは言わずもがな、祐巳ちゃんは弟さんとお泊まりデート」
「なんか最後に凄いのぶっこんできた!?」
「冗談よ。多分」
「多分!?」
「まあそんなわけで、聖の相手をしてくれそうな相手は皆さん多忙なのよ」
「そうですか、へいへい」
 じゃあなんでアンタはここにいるんだと突っ込みたいが、いまいちテンションがあがりきらず、ただ江利子について歩く。
 一方で江利子はいつになく楽しそうに見える。
 私を連れまわしていることがよほど面白いのか。
「もっと楽しそうな顔しなよ、誕生日でしょ、今日」
「生まれつきバタ臭い顔なんです」
「やだ、そうじゃなくて、陰気臭い顔していたらこっちにうつるじゃない」
 江利子が笑いながら私の肩をパシパシ叩いてきた。
 ここまで上機嫌なのは本当に珍しい。
「ほら、行きましょう」
 私の腕を掴み、引っ張るようにして歩き出す江利子。
「でも聖って可哀想よね。クリスマスと誕生日が同じじゃあ、プレゼントはやっぱり?」
「ああ、まとめて」
「そうでしょうね。でも、安心して」
「は、何が?」
「今日は私がちゃんと、クリスマスと誕生日、別々にプレゼントあげるから」
 江利子がプレゼントをくれるなんて想像もしていなかっただけに、私は驚きで何も言えなかった。
 それを不満ととらえたのかどうかわからないが、江利子は続ける。
「クリスマスプレゼントは聖が驚くようなものを、誕生日プレゼントは聖が喜ぶものをあげるわ」
「ふーん、何?」
「それは、これから考えるの」
「なんだ、思いつきじゃん」
 江利子のことだから、まともなものは寄越すまい。せめて、貰って困るようなものだけは避けてもらいたいものだと思う。
 そんな風にローテンションのまま、私はついていった。

 

「あぁ、失敗したわ」
「この時期に予約せずにあんなレストラン、入れるわけないじゃん」
 色々と買い物をして夕食をとろうということになったのだが、江利子が行きたがっていたお店はどこも満席で2時間待ちなどザラだったのだ。
「そりゃそうよねー」
 とほほ、といった表情をしている江利子がなんだから可笑しい。
「あ、ようやく笑った」
「ん、そう?」
「そうよ……って、お邪魔しまーす、と、相変わらず無味乾燥な部屋ね」
「整理整頓されているって言って欲しい」
「整頓するほど物がないでしょ」
 入れるお店がなく、やってきたのは私の部屋。
 帰り道にある持ち帰り専門のお店でチキンとポテトを買い、小さなケーキ屋でケーキも買い、あとは部屋で食べようということになったのだ。
 江利子が言う通り、私の部屋は必要最低限のものしか置いていないし、女性らしさや可愛らしさとはかけ離れている。シンプルで良いと思うのだが、江利子にとっては物足りないのだろう。
 まあ、江利子の部屋みたいに沢山の贈り物(父親と兄からの)に囲まれているのもどうかと思うが。
「それじゃあ、食べましょうか。もうお腹ぺこぺこ」
「そうだね、私も――」
 言いかけて、言葉につまる。
 なぜかというと、コートを脱いだ江利子に思わず目が吸い寄せられたからだ。
 いや、正確に言うと、江利子の胸に、である。
 ハイネックのニットなのだが、ボディラインに密着するから胸の大きさが目に見えてよくわかる。
 リリアンの制服のときは分かりづらかったけれど、江利子の体つきは滅茶苦茶エロいのだ。胸の大きさもそうだが、腰のくびれもヤバい。
「聖ってさ、時々、男子中学生みたいよね」
「え、は、え、なに?」
「けっこうちょくちょく、私の胸、エッチな目で見ているじゃない」
「なっ!? ちょ、ちょくちょくって、たまにだよ! それに江利子の胸だけ見ているわけじゃないし、そもそも江利子のおっぱいがエロいのが悪い!」
「え、なに、その開き直り」
「え? あ、いや、そ、そのっ」
 不意に図星をつかれて焦りまくって余計なことを口走ってしまった。
 顔が熱くなる。
 迂闊だった、江利子にこんな醜態をさらすなんて、今後ずっと何を言われるかわかったものではない。
「ねえ、聖。クリスマスプレゼト、思いついちゃった」
 江利子が近づいてきながら、なぜかいきなりそんなことを言ったけれど、私は江利子のおっぱいに意識がいって何と応じたら良いか分からなかった。
 硬直している私に近づいてくる江利子。
 そして。
「あ、そこに落ちてるのなに?」
 江利子が床に目を向ける。
「ん?」
 何だろうと、私も下を向く。
 その私の両頬を、江利子の手の平が包む。

「ん」
「――――」

 唇が、塞がれた。

 え、え、なに、なんで。

 キス、している?

 私が、江利子と、キス?

 混乱している私の目の前には間違いなく江利子の顔があって。
 そうしているうちに唇が離れていく。

「――どう、驚いた?」
「え……と、プレゼントって、え、キス?」
 問いかけると、江利子は首を横に振った。
 違ったのか。
 ただのおふざけ、私をからかっただけかと思ったら。
「ちーがーう、キスじゃなくて、私のファースト・キス」
 ちょっと頬を赤くして、唇を尖らせて、拗ねた表情で言う江利子。

 え、な、なに、江利子ってこんなに可愛い表情するんだっけ!?

「えーと、イヤだった?」
 右手で髪の毛をおさえながら、ちょっと不安そうに江利子が問いかけてくる。私は慌ててぶんぶんと首を振る。
「い、嫌じゃない、けど」
「けど?」
「……び、びっくりした」
 そう私が言うと。

「……ふふ、やった、じゃあ聖が驚くようなプレゼント、成功ね」
 江利子が無邪気な笑みを見せる。
 その笑顔にまた、私は頬が熱くなって、胸の鼓動が速くなる。
「それじゃあ次は、聖が喜ぶプレゼントを考えなくちゃね。何がいいかしら」
「そ、それならっ!」
「きゃっ!? え、な、なに?」
 江利子の腕をつかみ、正面から見据える。
「私が喜ぶプレゼントでしょう」
「なに、要求があるの? それは想定外だったけれど、何、かしら」
 問われ、私は一つ深呼吸をしてから言った。

「……ぱふぱふ、させて」

「…………はぁ?」
 江利子の表情が歪んだ。

 

「――まったく、言うに事欠いて『ぱふぱふ』させろって、エロ魔人が」
 まるで汚物でも見るような目で、床に倒れ伏している私を見下ろす江利子。
 直前、私は江利子にアイアンクローを決められた挙句、足払いをかけて倒されていた。
「いやいや! だってクリスマスだよ! 一人暮らしの部屋にあがってきたんだよ! それでキスされたんだよ! そしたら普通、それ以上のことを期待するでしょうが!」
「それは私が相手でも?」
「いや、私だって驚いたよ、だって江利子だもん。でも江利子、めちゃくちゃエロ可愛かったから、その」
「大声で力説しないでよ、バカ!」
「江利子が悪い、あれで欲情しない方がおかしいっての!」
「私が相手でも?」
「江利子が相手でも……っていうか今も絶賛、欲情度急上昇中なんだけど」
「はぁ? 何を言って……」
 言いかけて、どうやら江利子も気が付いたようだ。
 床に仰向けに倒された私だけど、この体勢だと江利子のショート丈スカートの中が見えるのだ。
 すらりとした太腿の奥に見えるおパンツにむらむらするとは、男子中学生レベルと言われても仕方ないところだが、どうしようもない。
「ちょ、ちょっと、何見ているのよ……って、あ」
 赤面しながら慌てて逃げようとした江利子だったが、焦って足をすべらせて転び、尻餅をつい――
「むぎゅっ」
 私の顔面に着座した。
「ちょ、ちょっと聖、何するのよ!」
「~~~っ! ~~~~っ」
 私のせいじゃないし、勝手に人の顔に座って来たのは江利子だし。
 と、抗議をしたくとも声が出せない。
「や、あ、変なとこ触れないで……っ」
「んむっ、むぅ~~っ!!!」
 なんか、幸せな気持ちでこのまま昇天しそう。
 エッチな少年漫画の主人公って、こんな気持ちなんだろうか。
 
 ちょっと変則的だけれど、これも『ぱふぱふ』なのだろうか。

「あ、あ、だめっ、聖……っ」  ぷるぷると江利子が震えるのを感じながら。

 私は呼吸困難に陥って意識を失ったのであった。

 

 翌朝、気が付くと。

『聖のバカ! しんじゃえ!』

 バスルームの鏡におっきな真紅の文字が書かれていた。

 

 

おしまい

 

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