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ミステリー 書評

【ブックレビュー】偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理(著:降田 天)

更新日:

【作品情報】
 作品名:偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理
 著者:降田 天
 ページ数:272
 ジャンル:ミステリー
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 犯人への感情移入度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 少し変わった面白いミステリを読みたい人

■作品について

かつて「落としの狩野」と呼ばれた狩野雷太。

今は神倉の地の駅前交番で勤務をしている。

そんな雷太の前に現れる、様々な犯罪者たち。

交番勤務のおまわりさんとなった今も、狩野の人を見る目、犯罪者を暴く力は衰えること無く。

神倉という地を舞台にして描かれる短編ミステリー。

■良かった点

「落としの狩野」と呼ばれた元刑事の警察官を主人公としつつ、各短編は犯罪者側の視点で進む。

犯罪者が、なぜ犯罪をすることになったのか。

どういう手口で犯罪をしているのか。

それは当然ながらすぐに分かるわけで、そんな犯罪者をいかに狩野が追いつめ、犯罪を明らかにしていくかというのが本作の読みどころである。

いわゆる「倒叙推理」モノということになる。

 

犯罪者たちはいずれも極悪人、というものではない。

それぞれ、色々な事情を抱えたうえで犯罪を行っている。

その犯罪者たちの目を通して物語を描くことで、犯罪者側に感情移入させられる。

どうにかして逃げて欲しい、警察に一泡吹かせて欲しい、なんて思ってしまったりも。

 

だけど、その上をいくのが狩野。

刑事でもなく交番のおまわりさんである狩野だから、刑事のような捜査などができるわけではない。

それでも、その卓越した観察眼、人の心理を読み解く力をもって、犯罪者を追い詰めていく。

いや、こんなおまわりさんいたら、相対したら怖いですね。

ひょうひょうとした感じで追いつめてくるという。

 

犯罪の手法ではなく、

「なぜその犯罪に至ったのか」

という感情、動機を紐解くことを主眼においたミステリといえる。

 

明かされる結末、真実には、なんともいえないものがあったりもする。

やるせないもの、少しほっとするもの、驚かされるもの。

いずれにしても、犯罪者自身も気付いていなかった心の動きや真実を突き詰めていき、読み進めていて最後まで飽きさせない。

読みやすい文体でありながら、決して軽いというわけではない。

静かに、読ませてくれる。

 

5編収録されているが、どれも粒ぞろいである。

ミステリーだけならず、人間ドラマ的な部分も期待できます。

シリーズとかになると面白そうですね。

 

■ここが改善できるともっとよかったかも?

純粋にトリックなどを推理したい、そういうミステリーではないのでご注意を。

 

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