【作品情報】
作品名:断片のアリス
著者:伽古屋 圭市
ページ数:329
ジャンル:SF、ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
物語に使われるアイディの良さ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : デスゲームとかゲーム的展開作品が好き
近未来。
雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々は生活のほとんどをVRシステム‐ALiS‐の中で過ごしていた。
しかし突如、椎葉羽留は囚われた。
痛覚も“死”も存在する恐怖のVRクラスタに。
ログアウト不能の狂気の館で、連鎖する殺人。
そしてたどりつく、この創られた世界の真相。
未来の話。
滅びに向かっているような世界、VR以外は退化してしまい、人との触れ合いも、物質も、何もかも失われていく。
それでも仮想現実の中では幸せに生活できる。
はずだった。
主人公のハルはいきなり謎のVRクラスタに放り込まれる。
本来なら暴力も痛みもない世界のはずなのに、そこでは痛みもあれば死もある世界。
誰が、何の目的でハルは囚われたのか。
そしてそこには同じように囚われた人たちがいた。
閉ざされた空間の中で繰り広げられる、脱出のための試行錯誤、そして疑心暗鬼からの殺し合い。
誰が殺意を持っているのか。
誰かが首謀者なのか。
謎解きとバトルロワイヤル。
スピーディーな展開で繰り広げられていき、先も気になって一気に読み進めていくことができる。
一人、また一人と減っていく中で、ハルは機転を効かせてなんとかこの世界の謎を解こうと奮闘する。
VRの世界という設定を上手いこと使った展開もなかなか。
そうしてやが導き出される結論、真実。
なるほどね。
決して目新しいというものではないけれど、読んでいる間にはそこまで考えなかったなぁ。
- ピノキオという児童文学。
- バトルロワイアルにミステリー。
- VR、AI。
様々な要素が絡み合って読ませる、まさにゲームのような一作。
バトルロワイアル展開の中で、多少、グロイ描写もあります。
そこまでではないんだけど、苦手な人はご注意を。
バトルロワイアルがメインではないので、結構あっさり退場とかもあります。
その辺は、そういう作品なので。
以下、ちょっとネタばれ。
「クラインの壺」
「クリス・クロス」
とか好きなら好きになれるはず(とかいっちゃうとネタバレちっく)