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エンタメ 書評

【ブックレビュー】ハリケーン(著:高嶋 哲夫)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ハリケーン
 著者:高嶋 哲夫
 ページ数:302ページ
 ジャンル:エンタメ
 出版社:幻冬舎

 おススメ度 : ★★★★★☆☆☆☆☆
 パニック度 : ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 こういう人におススメ! : 災害に向けた心構えを知りたい

 

■作品について

近年、日本で頻発する台風、記録的豪雨と暴風、土砂崩れといった様々な自然災害。
これはもはや異常気象でもなんでもなく、当たり前のように発生すること。
自然災害大国である日本。

■良かった点

日本では本当に豪雨などによる大規模土砂崩れの発生、それによる甚大な被害がこのところ多く発生している。
本作ではその自然災害による脅威が描かれているのだが、今までの作品とは異なり災害後のことがメインに描かれている。
突然の災害は、その人の生活を大きく変える。

家族を、大切な人を失う。
家を失う。
災害地域で救助にあたる。
起きた自然災害をもとに、今後の予知にいかに活かすか。

そういった人たちの生活や、悩みや、思いなどを描いていく作品。
今までの高嶋さんと違うのは、今作のような台風、大雨による土砂災害は日本ではもはや避けられないこと。
ならば、いかにして備えるか。あるいは、発生した後はどうするのか。
そういったことを考えて置くことが大切なのだという警鐘だろうか。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

高嶋さんの災害を題材にした作品だから、パニックものを想像していたら大きく違っていた。
「M8」や「東京大洪水」みたいなものを考えると肩透かしを食らう。
災害よりも、家族の問題(認知症の介護、夫婦の問題、子供の問題)、学校問題(教師と生徒、生徒と生徒)、そういったものの描写が多く、だからといってそれが主かというとそれほどでもない。
自衛官である中村についても、過去のことや叔父のこととか描かれているが、何が言いたかったのか。

主人公でもある田久保と、浮気に発展しそうでしないシングルマザーの女性とか、なんだったんだろうか。
求めているものが違うと言われればそれまでだが、高嶋さんに求めていたのは、災害が起こり、巻き込まれ、それにどう立ち向かうかという話なんだよなぁ、と思ってしまった。

今までの災害ものと違って緊迫感がないのが大きなマイナス点。

 

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